(ブルームバーグ):ベッセント米財務長官は、日本銀行が適切な金融政策の運営を継続すれば、円相場は適正な水準に落ち着くとの見解を示した。日本の報道機関が共同インタビューでの発言を報じた。
共同通信と日本経済新聞によると、ベッセント氏は円相場の水準についてはコメントを控えた。円は今月、他の主要通貨の少なくとも2倍のペースでドルに対し下落し、10日には1ドル=153円27銭と8カ月ぶりの安値を付けた。日銀による早期利上げ観測の後退が、円安進行の主因とみられている。
ベッセント氏は、30日に予定されている植田和男日銀総裁の次の政策決定についてもコメントを控えたと日経は伝えた。植田総裁は非常に有能な人物だと述べたという。
ベッセント氏の日銀に関する最新の発言は、8月に「日銀はインフレ対策で後手に回っている」と述べた時よりも穏健なものとなった。トランプ大統領は日本が通貨安を利用して貿易上の競争優位を高めようとしていると非難するなど、8月の発言は為替問題に関する米政権の基本姿勢を改めて示していた。
日本の不安定な政治情勢は、日銀が今月、金融引き締めを行うと予想するエコノミストが減っている主な理由だ。オーバーナイト・スワップ(OIS)市場の価格動向から読み取れる、トレーダーが見込む今月利上げの可能性は16日時点で約15%。先月末は70%前後だった。
今月初めの自民党総裁選で予想外の勝利を収めた高市早苗氏が、次期首相に就任するために必要な国会の票を確保できる可能性が高まっている。先週、公明党が連立政権を離脱した後、高市氏は他の野党から支持を得るための動きを活発化させている。国会は来週、新首相を選出する見通しだ。
元日銀理事の門間一夫氏は、円が対ドルで155円台かそれ以上に下落すれば、今月会合での利上げの可能性が高まると指摘。生活費高騰への国民の不満がくすぶる中、新政権は追加的なインフレ圧力を回避するため、こうした措置を容認する可能性が高いと述べた。
16日の東京市場では150円台後半で取引されている。為替介入を担当する加藤勝信財務相はワシントンで記者団に対し、「円安方向で急激な動きが見られる」と語った。
日本の消費者物価は3年以上にわたり2%以上の上昇を続けており、その間ほとんどの期間で実質賃金は下落している。ベッセント氏は8月のブルームバーグのインタビューで、日銀はインフレを抑制する必要があるため、将来的には利上げを行うだろうと述べていた。
原題:Bessent Says Yen Will Settle If BOJ Keeps Taking Right Policies(抜粋)
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