(ブルームバーグ):米ワシントンを訪問中の加藤勝信財務相は15日(現地時間)、日本の政治の不安定化が金融市場に及ぼす影響について問われ、政治の安定は経済にプラスに働くとの認識を示した。
主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後、記者団の取材に応じた。加藤財務相は、政治と経済の関連について「一般論として申し上げれば、政治は安定している方が経済や国民生活にとってプラスだと私は思う」と述べた。為替動向に関しては、「円安方向で急激な動きがみられる」と指摘した。
金融市場では政治の混迷が不安要因の一つとみられている。自民党総裁に高市早苗氏が選出された後、為替市場では一時1ドル=153円台と2月以来の水準まで円安が進んだ。公明党が連立政権から離脱し、来週にも行われる首相指名選挙に向けて与野党が多数派工作へ駆け引きを続ける中、政局の行方に対する市場の関心は高い。
日本時間16日午前10時時点の円相場は150円台後半で推移。米中貿易摩擦の激化に対する懸念に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)幹部による利下げ示唆を受け、ドルは主要通貨に対し全面安となっている。
加藤財務相は、為替は「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、政府として為替市場における過度な変動や無秩序な動きについてしっかり見極めているところだ」と述べた。
ベッセント米財務長官とも約30分にわたって個別に会談した。9月に発表した為替に関する日米共同声明について、日米財務相が改めて認識を再確認したという。米国側の発表によると、関税合意に伴う対米投資計画についても協議した。
今回のG7会合では、中国政府によるレアアース(希土類)の輸出規制強化についても議論が及んだ。中国産レアアースが使用された製品を輸出する外国企業に対し、中国政府からの輸出ライセンス取得を求めるもので、米中間の摩擦が再燃する恐れが浮上している。
加藤財務相は会合の席上、中国の措置について「日本としても強く懸念しており、G7は中国に対して結束して対応していくべきだ」と発言したと明らかにした。
加藤財務相によると、世界経済の現状などを総括する共同声明については発出されない見込み。
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