三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下にあるSMBC日興証券の吉岡秀二社長は、米ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループとの事業統合について、計画中の日本株事業だけでなく、将来的には投資銀行業務全般が検討対象になるとの見通しを明らかにした。

吉岡氏はブルームバーグとのインタビューで、企業の債券引き受けや合併・買収(M&A)助言などの業務でも「ジェフリーズとはもっと連携を深めたい」と述べ、長期的に事業統合の検討対象になるとの認識を示した。両グループは合弁の「SMBC日興ジェフリーズ証券」で2027年1月からまず日本株事業で統合を始める計画だ。

SMBC日興証券の吉岡社長(6日・都内)

三井住友FGでは、米モルガン・スタンレーと連携する三菱UFJフィナンシャル・グループや国内証券最大手の野村ホールディングスに比べ低い国際金融市場での存在感アップが課題だ。日本株事業に続き、債券やM&A業務もジェフリーズと統合すれば、海外の企業や投資家にリーチしやすくなり、巻き返しのチャンスも広がる。

合弁で新設するSMBC日興ジェフリーズ証券では、日本企業の株式引き受けやセールス&トレーディング、企業調査などから業務を扱う予定。三井住友FGは統合計画に関する説明で、存続するSMBC日興は富裕層ビジネスに特化する方針を示したが、債券やM&Aなど当面は残る投資銀行業務の扱いは明確にしていなかった。

富裕層ビジネスについて吉岡氏は、「高度かつ複雑な資産運用ニーズに対して、丁寧にアドバイスする対面サービスを磨いていくことが一丁目一番地だ」と述べ、営業人材の育成・強化を図る方針を示した。

グローバル・マーケッツ

SMBC日興では25年4-6月(第1四半期)に58億円の営業赤字に転落したグローバル・マーケッツ(GM)部門の手て立て直しも急務だ。株式や債券のトレーディングを担う同部門は、23年2月に東京地裁からSMBC日興が法人として株式の相場操縦事件で有罪判決を受けて以降、業績が低迷している。

判決ではブロックオファーと呼ばれる株式取引が相場操縦(金融商品取引法違反)に当たると認定された。吉岡氏は「GMは非常に重要なビジネス。強化しないという選択肢はない」と強調。その上で、「投資家の期待に応えられるような形で再編する」とも述べた。

SMBC日興は今年5月、米シティグループ証券で市場営業本部長を務めた松本圭太氏を常務執行役員に、野村HDの経営幹部だった薄井進氏を執行役員にそれぞれ抜擢する人事を決めた。金利ビジネスでは取引強化や業務効率化のため、従来の金融市場本部の機能を金利商品営業部、クレジット営業部、円金利市場部、外貨金利市場部に再編した。

--取材協力:谷口崇子.

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