(ブルームバーグ):人工知能(AI)スタートアップの米アンソロピックは、アブダビ拠点の投資会社MGXと資金調達を巡り初期の協議を行った。同社は約1カ月前に過去最大級となる資金調達を完了したばかり。
事情に詳しい複数の関係者によると、アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は今月、複数の中東諸国を訪問。その際にMGXの代表者と会談し、追加の資金調達について協議したという。会談にはMGXのアーメド・ヤヒア・アル・イドリシCEOも同席したと、匿名を条件に関係者の1人が明らかにした。別の関係者によると、協議は予備段階のもので、中東における提携関係構築の一環だという。
アモデイ氏ら同社幹部は今回の出張で、カタール、クウェート、サウジアラビアの政財界指導者とも面会した。訪問の主な目的は関係の修復と強化にあったと関係者2人が明らかにした。アモデイ氏はこれまで、中東から資金を受け入れる必要があるとし、それが「独裁者」を豊かにする結果になったとしても避けられないとの考えを示していた。
アモデイ氏はまた、アンソロピックのAI製品を支えるため、中東での計算能力の確保も目指しているという。関係者によると、アモデイ氏はアブダビのAI企業G42の関係者とも会談した。G42はこれまで、アラブ首長国連邦(UAE)でのデータセンター開発を巡りライバルのOpenAIと提携している。
アンソロピックはコメントを控えた。MGXとG42はコメント要請に応じなかった。
OpenAIの元社員らが2021年に設立したアンソロピックは、これまで数十億ドル規模の資金を調達してきた。ただ、同社を含め主要AI開発企業は、より高度なAIモデルの構築とソフトウエア普及のため支出を加速させており、現状の資金でも十分とは言えない状況にある。こうした中、豊富な資金力を持つ中東の投資家からの資金調達を模索する動きが増えている。
原題:Anthropic CEO Held Funding Talks With MGX During Mideast Tour(抜粋)
--取材協力:Alex Dooler.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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