(ブルームバーグ):米ウォルマートは、対話型人工知能(AI)の「ChatGPT」を手掛けるオープンAIとの提携発表を受けて株価が上昇している。みずほ証券のアナリスト、デービッド・ベリンジャー氏は、同社が時価総額1兆ドル(約150兆円)の「エリート」企業グループ入りに向けて歩みを進めているとの見方を示した。
サム・アルトマン氏率いるオープンAIとの提携は14日に発表された。同提携により、ウォルマートの買い物はChatGPT上で「購入」ボタンをクリックするだけで商品を買えるようになる。生鮮食品は対象外だが、ウォルマートと傘下のサムズ・クラブの衣料品や娯楽品、加工食品などが購入可能だ。
このニュースを受けてウォルマート株は同日に約5%上昇。4月以来の大幅高となり、時価総額は8540億ドルを超えた。15日も一時2%高と買われている。
ベリンジャー氏は顧客向けリポートで「この分野でウォルマートは明らかに先行しており、他社の多くは対応が遅いか、AIによるデータ収集を制限しようとさえしている」と指摘。今回の提携を「エージェント型コマースの採用と拡大を後押しする大きな一歩だ」と評価した。

時価総額1兆ドルの壁を突破すれば、ウォルマートはごく限られた企業群の一角に加わることになる。このグループは依然としてテクノロジー企業が圧倒的多数を占めており、現在は11社のうちテクノロジー企業以外はバークシャー・ハサウェイとサウジアラムコの2社のみだ。
シティグループのアナリスト、ポール・ルジュ氏によると、オープンAIとの提携はウォルマートが「常にテクノロジーの最前線に立ち続ける」能力を示している。オープンAIはEtsy(エッツィ)やShopify(ショッピファイ)など他の小売パートナーも抱えているが、ウォルマートとの提携は「際立って独自性がある」と同氏は述べた。
みずほ証券のベリンジャー氏は、米経済の先行きに不透明感が残るなかでも、今回の提携がウォルマート株の強気基調を一段と後押しすると指摘。「経済が低調でも株価は堅調に推移し得る。新規事業や成長分野での取り組みと相まって、消費関連セクターでは必須銘柄といえる存在だ」と語った。
原題:Walmart on Path to Trillion Dollar Status After OpenAI Alliance(抜粋)
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