トランプ米大統領の和平合意に基づくガザへの人道支援が、不透明なスタートとなっている。ガザで困窮する住民にとって、支援の量も配分もなお不足していると、パレスチナ支援団体が報告した。

イスラエルは、イスラム組織ハマスによって捕らえられ、死亡した人質の遺体の引き渡しが遅れていることが、合意の早期履行を妨げていると主張している。

パレスチナNGOネットワークのディレクター、アムジャド・シャワ氏によれば、12日にはガザに向けて約800台の支援トラックがイスラエルとの境界にあるケレム・シャロームとキスフィムの検問所を通過した。1日あたり300台程度だった以前に比べて大きく増えたものの、必要な量には依然届いていないという。

「ガザには毎日1000台分の支援物資が必要だ。ガザ境界の検問所6カ所全てが開放されなければ、高まる支援のニーズには対応できない」と、シャワ氏はブルームバーグ・ニュースに語った。

ハマスが20人の生存する人質を解放した13日に支援トラックのガザ入りは1台もなく、ユダヤ教の祝日だった14日も支援物資の搬入は行われなかったと、シャワ氏は指摘。15日に支援トラックはガザに入ったが、どの程度の規模かはまだ分からないという。

米国などからテロ組織に指定されているハマスは、過去2日間に死亡した人質7人の遺体を引き渡したが、残り21人の人質は行方不明なままだ。ハマスに引き渡された遺体のうち1体は人質のものではなかったことが確認されたと、イスラエル軍は発表した。

国連の世界食糧計画(WFP)は11日、ガザで支援活動の拡大を開始し、200万人の住民に3カ月分の食料を供給する準備が整っていると明らかにした。ただし、その実現には「全ての検問所を迅速かつ効率的に活用」することが必要だと強調した。

停戦合意でイスラエルの空爆は止まったが、ガザの一部で暴力は依然残る。ハマスは対立するパレスチナ人勢力との間で戦闘を続け、12日にはスパイと反乱の嫌疑によりハマスが6人を公開処刑したとする動画がソーシャルメディアに出回った。

さらにハマスの影響下にあるパレスチナ情報センターによると、イスラエル軍が7人のガザ住民を殺害し、緊張をいっそう高めた。イスラエル軍は警告を無視して駐屯地に近寄ってきたパレスチナ人に発砲したと説明している。

原題:Gaza Aid Flows Stumble as Israel-Hamas Deal Has Uncertain Start(抜粋)

--取材協力:Dan Williams.

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