(ブルームバーグ):米アルファベット傘下のグーグルは今後5年間で、インド南部での人工知能(AI)インフラ拠点の建設に約150億ドル(約2兆2800億円)を投資する方針だ。急成長する同国市場で最大規模の投資となる。
グーグルは14日、南部アンドラプラデシュ州の港湾都市ビシャカパトナムに新たな電力源と光ファイバー網につながるデータセンターを建設する計画を発表した。
インドの大富豪ゴータム・アダニ氏によると、同氏が創業したアダニ・エンタープライゼズと米データセンター運営大手エッジコネックスとの合弁会社であるアダニコネックスが、国内第2位の無線通信事業者バルティ・エアテルと共に、同プロジェクトでグーグルと提携する。
グーグルは発表文で、同プロジェクトはインドにおける過去最大の投資であり、地元政府が推進するAI産業加速化計画の中核になると述べた。アンドラプラデシュ州のロケシュ情報技術相はブルームバーグ・ニュースに対し、同州は2029年までに設備容量が6ギガワット(GW)のデータセンターを整備する目標を掲げていると語った。
グーグルは他の米IT大手に追随し、世界的なAIブームの最大の受益国の一つであるインドに投資する。米アマゾン・ドット・コムは30年までに同国にクラウドインフラを構築するため127億ドルを投資する計画だ。対話型AI「ChatGPT」開発元のオープンAIも同国に1GW規模のデータセンターの建設を目指している。CBREグループによると、同国のデータセンター市場への投資額は27年までに1000億ドルを超える見込みだ。
ロケシュ氏は、ビシャカパトナム市のデータセンターのみで、グーグルからの投資額が100億ドルを超えると述べた。「雇用だけではない。それが生み出す波及効果や経済活動こそが大きい」と強調した。
インドのモディ首相はテクノロジーが同国経済を強化し、数百万人を貧困から救う鍵になるとの見方を示しているが、限られた水資源と不安定な電力供給が依然として大きなボトルネックとなっている。
ロケシュ氏の父親であるN・チャンドラバブ・ナイドゥ氏が率いるアンドラプラデシュ州の地域政党テルグ・デサム党(TDP)は、モディの計画の重要な一翼を担っている。同州政府は新規産業プロジェクトに対し、土地および電力の補助を提供している。ナイドゥ氏は1990年代後半、インド中南部のハイデラバードを技術都市へと変貌させ、マイクロソフトやオラクルなどが巨大拠点を構えるまでに発展させたことで、先見の明を持つ人物として評価を得た。
同党は現在、その影響力を活用し、アンドラプラデシュ州に投資する企業にとって有利な連邦政策の確保を目指している。
グーグル・クラウドのトーマス・クリアン最高経営責任者(CEO)はニューデリーでの記者会見で、AIハブについて「包括的なAIインフラを提供することを目的として設計されており、われわれのニーズだけでなく、インド国内の起業家や企業、商業組織のニーズにも応えるよう設計されている」と述べた。
原題:Google Plans $15 Billion Data Center in Biggest India Bet (1)(抜粋)
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