米議決権行使助言会社グラスルイスは、株主投票を巡り長年にわたり行ってきたベンチマーク勧告提供の慣行を終了する。同社に対して共和党からは、ESG(環境・社会・企業統治)寄りだとして批判の声が上がっていた。

グラスルイスが公表した文書によると、同社は2027年の年次株主総会シーズンから、投資家がどのように投票すべきかについての「ハウスビュー(見解)」を提示することをやめる。

同社はそれに代わって、運用資産総額が計40兆ドル(約6050兆円)に上る1300余りの顧客に対し、複数の選択肢を提供する。具体的には、企業提案に沿った投票、ガバナンスやサステナビリティーを重視した投票、または顧客自身の判断による投票というオプションを提示する。

グラスルイスの広報担当者によると、同社は14日に顧客へ変更について通知したという。

同社は文書で、受託者責任やサステナビリティー関連のさまざまなテーマを巡り、米国と欧州の投資家の間で意見の相違が深まっており、「単一のハウスビューに依存する議決権行使助言会社の従来モデルに課題が生じている」と説明した。

これまでグラスルイスは毎年3万を超える株主総会で、経営者報酬から気候変動対策の目標に至るまで、投票に関する勧告を提示してきた。同社の資料によると、顧客の約30%がグラスルイスの方針に基づいて投票していたという。

今回の決定は、ブラックロックやバンガード・グループといった米大手資産運用会社が、年次株主総会で投資家が自らの株式を投票できる仕組みを導入した流れを受けた形だ。

これらの運用会社は、気候変動などリベラル寄りのテーマを促す上で、企業に対する強大な影響力を巡って、共和党が行政トップを務める州の政治家や投資家から批判を受けてきた。

グラスルイスの最大の競合であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)も今月、ハウスビューを排したサービスを追加し、投資家が投票行動をより細かくカスタマイズできるようにすると発表している。

原題:Glass Lewis Ends Single-View Investor Voting Guidance (Correct)(抜粋)

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