(ブルームバーグ):フランスの高級ブランド、シャネルを所有するヴェルタイマー家の投資会社ムース・パートナーズが、米ロックフェラー・キャピタル・マネジメントの企業価値を66億ドル(約1兆円)と評価し、同社に出資する。
ニューヨークに本拠を置くムース・パートナーズは、ヴェルタイマー家の資産930億ドルを運用するファミリーオフィス。
また、スミス・ヘミングウェイ一族のファミリーオフィスのプロジェニー3と、著名投資家デービッド・エイブラムス氏が創設したボストンの投資会社エイブラムス・キャピタルも、運用資産1870億ドルのロックフェラー・キャピタルに資本参加する。
取引の詳細条件は明らかにされていない。ロックフェラー・キャピタルは超富裕層向けの助言サービスが専門で、機関投資家や企業への助言も行っている。
同社はモルガン・スタンレー・ウェルスマネジメントの社長だったグレッグ・フレミング氏が2018年、ジョン・D・ロックフェラー一族のファミリーオフィスを母体として設立。
その後、同社はバイキング・グローバル・インベスターズの出資を受け、フレミング氏によって買収された。ロックフェラー家の一部メンバーは現在も株主にとどまっている。
今回の取引で示された評価額は、23年にカナダの富豪デマレ一族の出資を受けた際の水準を120%上回る。当時と比べ、同社の運用資産は87%増加している。
世界の富裕層の間では、資産運用会社が投資対象として注目を集めている。顧客としてこの分野に精通しているほか、安定したキャッシュフローをもたらすためだ。超富裕層の拡大に伴い、複雑なポートフォリオに関する専門的助言ニーズが高まっている。
ムース・パートナーズはすでに仏銀ロスチャイルドの一部株式を保有。23年にはダッソー家やプジョー家などと共に同社の非公開化を支援した。
ロックフェラー家のデービッド・ロックフェラー・ジュニア氏は14日の発表文で、「既存投資家に加え新たなパートナーを迎えることで、基盤を強化し、卓越したサービス提供能力を高めるだけでなく、当家と他の著名なファミリーや投資家との有意義な絆を築くことができる」とコメントした。
原題:Chanel Billionaires’ Family Office Bets on Rockefeller Capital(抜粋)
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