(ブルームバーグ):財務省が15日に実施した20年利付国債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が過去12カ月の平均を上回った。高い利回りで投資家需要を集め、市場では「順調」だったとの見方が出ている。
入札結果によると、応札倍率は3.56倍と、過去12カ月の平均(3.25倍)を上回った。最低落札価格は100円20銭と、市場予想と同じ。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は13銭。前回は10銭だった。
入札結果を受けて長期国債先物はこの日の高値付近まで上昇する場面があった。新発20年債利回りは2.69%と前日比で低下して推移している。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、「応札倍率は前回の4倍からは低下しているが、過去12カ月平均と比べると高く、順調に通過した」との見方を示した。「20年債はだいぶ調整が進んだので需要が見られた」とし、利回りには「もう少し低下余地がありそうだ」と述べた。
20年国債はこれまでよりも償還期限が3カ月延び、新回号として発行される。表面利率は2.7%と1999年以来の高水準。利回り曲線上で割安感がある。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、利回り水準が魅力的だったことに加え、20年債の増発はないとの見方も買い安心感につながったと指摘した。
国内政治情勢の混迷で、大型の補正予算が年内に作られる可能性は後退し、目先の国債増発への警戒感はやや弱まっている。来週にも召集される臨時国会の首相指名選挙への対応に関し、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党は15日に党首会談を行う見通し。立民が目指す野党候補の一本化に向け、安全保障政策で一致できるかが焦点だ。
米国市場では14日、長期金利が一時4%を割り込み約1カ月ぶり低水準をつけた。トランプ大統領が同日、中国との食用油貿易を停止する可能性があると述べ、両国の貿易関係に新たな緊張が生じている。
--取材協力:日高正裕.
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