トランプ米大統領は14日、防衛費の増額に反対しているスペインは「罰せられるべきだ」と述べた上で、同国からの輸入品への関税賦課を検討したことを明らかにした。スペインは北大西洋条約機構(NATO)加盟国間で合意した防衛費引き上げに抵抗している。

トランプ氏は、ホワイトハウスのアルゼンチンのミレイ大統領と会談した際にスペインについて言及。「NATOに対して非常に無礼だと思う。実際、彼らの対応に対し、関税という形で貿易上の懲罰を与えることを考えていた。実行するかもしれない」と述べた。

トランプ氏はスペインのサンチェス首相に対するいら立ちを繰り返しあらわにしている。サンチェス氏は6月のNATO首脳会議で、加盟国に対し防衛支出を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる米国の要求を拒否。加盟国でこの新たな目標を受け入れなかったのはスペインだけだった。

トランプ氏は先週、ホワイトハウスでフィンランドのストゥブ大統領と会談した際に、スペインをNATOから除名する可能性に触れた。ただ、NATO条約には加盟国の資格停止や除名の規定はなく、米国が単独でスペインを追放できる根拠もない。

トランプ氏は13日、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意後にエジプトで開催された和平サミットの合間にサンチェス首相と会談。対GDPの目標にサンチェス氏が取り組めば「われわれはもっと近づける」と語り、さらに「素晴らしい仕事をしている」とサンチェス氏を称賛した。

しかしその翌日には一転してスペインの判断を「好ましくない」と非難。スペインは欧州の中で他の加盟国に囲まれた地理的条件のため、NATOによる安全保障上の恩恵を受けていると指摘した。

一方、サンチェス氏は、防衛費を新たな目標水準まで引き上げるには数億ユーロ規模の追加支出が必要となり、医療や教育の削減が避けられないとしている。

スペイン首相府は先週、当時のトランプ氏の発言に反論する声明を発表。「スペインは完全な権利を持つNATO加盟国であり、NATOへの責務を果たしている。米国と同様に目標を履行している」と説明した。

原題:Trump Floats ‘Trade Punishment’ for Spain Over Defense Spending(抜粋)

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