(ブルームバーグ):自民党と公明党の連立政権崩壊で政治の不透明感が強まり、投資家は15日に行われる20年国債の入札に慎重だ。
4日の自民党総裁選で高市早苗氏が予想外に勝利した後、超長期債は大きく下落した。その後、26年続いた連立政権が崩壊し、高市首相誕生の可能性は低下している。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、自民党の単独政権となるのか、政権交代となるのかは不透明だが「いずれにしても財政拡張方向と意識されやすい」と指摘。「入札で需要が高まるような環境ではない」と話す。

フランスと日本で広がる政治の混乱を背景に中央銀行の政策よりも政治がマーケットを動かすとの見方が増え、債券投資家は世界的に国債を保有するためのプレミアムをより高く求めている。政権交代によって政府支出が拡大するとの懸念から、日本の国債利回りは上昇基調をたどっている。20年債利回りは7日に1999年以来の高水準を更新、14日は2.7%前後で推移した。
20年債入札の結果は午後0時35分に発表される。高市総裁が自民党総裁に選出されて以降、国債入札はこれで3回目で、連立政権崩壊後は初となる。先週実施された5年債と30年債の入札では堅調な需要が確認された。注目は投資家需要の強弱を反映する応札倍率だ。前回9月の入札では2020年以来の高水準になった。投資家は大きいと入札の不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)も注視する。
バークレイズ証券のストラテジスト、江原斐夫氏と門田真一郎氏はリポートで、利回りが高く、需給要因で短期的妙味はある程度あり得るとしつつ、政治的不確実性も色濃く妙味はないと分析した。「公明党連立離脱を受け、高市総裁下での連立協議がますます難航し、首相指名の不確実性が高まることで、野党の主張する拡張的財政政策の実現可能性が増大する」との見方を示した。
政治的な不透明感は、日本銀行が今月利上げを行う可能性を後退させている。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)によると、10月の利上げ確率は約10%と今月初めの6割台から大きく低下した。
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