国際エネルギー機関(IEA)は14日発表の月報で、原油の供給過剰が過去最大規模となり、すでに海上輸送中のタンカーに余剰分が積み上がり始めていると指摘した。

月報によると、世界の原油供給量は2026年、需要を1日当たり約400万バレル上回る見通しで、年間ベースでは前例のない供給超過となる見通しだ。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスが生産を再拡大する一方で、非加盟国の2026年の生産見通しも強まっていることから、IEAは余剰予測を先月時点から約18%上方修正した。

報告書によると、今年はすでに日量190万バレルのペースで在庫が積み上がっているが、その大半を中国が買い入れているため、価格への影響はこれまで抑えられていた。だが、最近では中東からの輸出急増により、海上にある原油の量が数年来の高水準に達しており、状況が変化し始めているという。

IEAは「大量の海上原油が主要な石油ハブに陸揚げされるにつれ、原油在庫は急増する見通しだ」と述べた。今年の需要増加見通しはわずかに下方修正し、非OPEC諸国の供給見通しは今年、来年ともに上方修正した。

原油の余剰は、中国など主要消費国で需要の伸びが鈍化する一方、OPECプラスが停止していた生産を再開し、米州で急速な生産拡大が続いていることで生じている。ロンドン市場では13日、原油先物が1バレル=63ドル前後で取引されており、年初来では15%下落している。

原題:IEA Raises Its Estimate for Record Oil Oversupply in 2026(抜粋)

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