米国で11月下旬の感謝祭シーズン到来前に新規株式公開(IPO)を目指す企業にとって、追い風となる可能性のある指針を証券取引委員会(SEC)が先週発表した。

SECが9日に公表したガイダンスは、IPO価格の設定要件の柔軟性を高める内容で、企業側が固定された価格ではなく価格レンジを提示できるようにするもの。政府機関の閉鎖が続く中で、IPOを進めるための措置だが、アドバイザーらによると、この改定で上場への扉が開かれるのはごく少数にとどまる見通しだ。

通常であれば、エトス・テクノロジーズや暗号資産(仮想通貨)企業ビットゴー・ホールディングスなど数社が正式にIPOのマーケティングを開始する可能性がある。IPOのマーケティング期間は通常7-9日で、企業とアドバイザーがSECと綿密に連絡を取り合いながら進めるのが通例。

SECの業務が事実上止まっている現在、企業は登録申請を開始してから20日後に自動的にIPO申請を有効と見なされる選択肢を行使することが可能だ。ただし、20日間という待機期間中、企業は一定のリスクにさらされることになる。

SECは新たな指針で、こうしたリスクを軽減する措置を打ち出した。だが、長期の待機期間が残る限り、この仕組みを実際に活用する企業は少ないと証券に詳しい弁護士や銀行関係者の多くはみている。

キング&スポルディングのグローバル企業部門共同代表キース・タウンゼント氏はSECの新指針について、「IPO市場は蛇口からわずかに水が滴る程度の動きが出るかもしれないが、SECが業務を再開しない限り、蛇口が本格的に開くことはない」と指摘。「これは実行可能な道筋を示すものではあるが、理想的とは言えない」と語った。

SECの担当者は新しいガイダンスを参照するよう求め、それ以上のコメントは控えた。

 

原題:Most US IPOs Remain In Limbo Despite SEC’s Shutdown Fix (1)(抜粋)

--取材協力:Lydia Beyoud.

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