米国で新車の平均価格が先月、初めて5万ドル(約760万円)を突破した。高価格帯の電気自動車(EV)や高級車の販売急増が押し上げた。

自動車購入情報サイトを運営するケリー・ブルーブックが13日に公表した調査結果によると、9月の新車平均購入価格は前年同月比3.6%上昇の5万80ドルだった。最大7500ドルのEV向け税額控除廃止前の駆け込み需要でEV販売が過去最高を記録したことが背景。

ケリー・ブルーブックの親会社コックス・オートモーティブのエグゼクティブアナリスト、エリン・キーティング氏は発表文で「2万ドルクラスの車はほとんど見かけなくなった。価格に敏感な消費者の多くは様子見するか、あるいは中古車市場に向かっている」とした上で、「現在の自動車市場は比較的裕福な層がけん引している」と解説した。

新車価格は過去5年間で25%余り上昇。米国では高価格のピックアップトラックやスポーツタイプ多目的車(SUV)の人気が高まる一方で、初めて車を購入する若者に購入されていた低価格モデルの人気が低迷している。その結果、多くの消費者は中古車に流れるか、古い車をより長く乗り続けている。調査会社S&Pグローバルによると、米国での自動車の平均使用年数は12年を超えた。

一方、自動車市場調査会社エドマンズ・ドット・コムによれば、新車購入者の間ではローン期間を7年以上に延ばす傾向が強まり、7-9月期の月返済額の平均は754ドルに達した。新車購入者の5人に1人が自動車ローンの月返済額として1000ドル超を支払っているという。

ケリー・ブルーブックによれば、9月の米新車販売全体に占めるEVの割合は12%と過去最大になり、平均販売価格は5万8124ドルに達した。

高級車の販売も好調で、平均価格が7万5000ドルを上回る60車種余りが9月の新車販売の7.4%を占めた。1年前の6%から上昇した。

トランプ大統領の関税政策による価格押し上げ効果はまだ全面的には顕在化していない。自動車メーカー各社がコスト上昇分の一部を吸収しているためだが、アナリストは最終的には利益を守るため価格転嫁が避けられないとみている。

キーティング氏は「関税は企業に新たなコスト圧力を及ぼしている」とし、「ただ、9月の新車価格上昇はEVと高級車がバランスよく売れたことが主因だ」と述べた。

原題:Average US Car Prices Top a Record $50,000 on EV Sales Surge(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.