トランプ米大統領は13日、パレスチナ自治区ガザの将来を協議する会議に集まった各国・地域の首脳らに対し、米国主導のイスラエルとハマスの停戦を恒久的な和平へとつなげるよう呼びかけた。トランプ氏は今回の合意について、戦禍に苦しむ地域の「新たな始まり」だと強調した。

エジプト東部シャルムエルシェイクでの同会議でトランプ氏は「われわれは今、長く続いた確執や憎しみを乗り越える千載一遇の機会を得ている」と発言。「私たちは共に、壮大で、偉大で、そして永遠に続く平和を築き上げていく」と続けた。

イスラエルにも立ち寄ったトランプ氏の強行日程の外遊は、2年に及ぶイスラエルとハマスの戦闘終結への期待を一段と高めた。

同氏は「われわれは誰もが不可能だと言っていたことをやり遂げた。ついに、中東に平和が訪れたのだ。これからは再建の始まりだ」と述べた。

しかし、停戦はなお不安定であり、多くの重要課題が未解決のままだ。トランプ氏は、戦闘で甚大な被害を受けたガザで食料や支援物資の供給が始まったと述べたうえで、「豊かな多くの国々」が再建資金の拠出を約束していると明らかにしたが、具体的な国名には言及しなかった。

トランプ米大統領(エジプト東部シャルムエルシェイクで)

会議には、エジプトのシシ大統領、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相、カタールのタミム首長、イタリアのメローニ首相、スターマー英首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長ら、欧州と中東から約30人の首脳が出席した。ただイスラエルのネタニヤフ首相は、間近に迫ったユダヤ教の祝日を理由に招待を辞退した。

ガザの今後の行方には不透明感が残るものの、トランプ氏は今回の停戦を「歴史的な成果」と位置づけ、いかなる勢力もこれを損なうことのないよう協力を呼びかけた。

これに先立ち、イスラエル国会(クネセト)で演説したトランプ氏は、今回の合意を「新たな中東の歴史的夜明け」と表現し、議場で熱烈な歓迎を受けた。ホワイトハウスが公表した演説抜粋によると、トランプ氏はイスラエルに対し「戦場でのテロリストへの勝利を、中東全体に平和と繁栄をもたらす究極の成果へとつなげるよう」求める一方、ガザの人々には「安定、安全、尊厳、経済発展という基本を取り戻し、子どもたちが本来得るべきより良い生活を手に入れられるよう努力すべきだ」と呼びかけた。

イスラエルとハマスの和平案第1段階の合意を受け、ガザでハマスに拘束され、生存していた人質20人が現地時間13日に解放された。2023年10月7日のハマスによる奇襲攻撃で連れ去られ、ガザで最後まで拘束されていた人質が解放されたことで、2年間続いた戦闘は一つの節目を迎えた格好だ。イスラエル側も約2000人のパレスチナ人収監者を釈放した。

エジプトのシシ大統領は、11月にガザ再建に関する首脳会議を開く意向を示し、トランプ氏にも出席を求めたい考えを明らかにした。

一方で、停戦の持続性には懐疑的な見方が根強い。トランプ氏の演説はイスラエル国会では熱狂的な拍手で迎えられたものの、その直後に同国のカッツ国防相は、ハマスが「13日までに人質の遺体を引き渡す」との約束を履行していないと指摘。「遅延や意図的な回避は、合意の重大な違反と見なし、相応の対応を取る」と警告した。

原題:Trump Urges World Leaders to Seize Momentum for Gaza Peace (1)(抜粋)

--取材協力:Kate Sullivan.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.