世界の半導体サプライチェーンに関わる企業が、米中貿易摩擦の激化による混乱に備えている。中国がレアアース(希土類)輸出規制を強化し、トランプ米大統領が100%の対中追加関税とソフトウエア輸出規制を発表したためだ。

中国のレアアース規制は、半導体産業を直接標的とする初の本格的措置で、AIブームを支える半導体供給が滞る恐れがある。関係者によると、最先端半導体製造装置を手がけるASMLホールディングは数週間の出荷遅延が発生する可能性があるという。

中国は自国産レアアースを微量でも含む素材の輸出に政府承認を義務付け、特定の半導体部品や軍事用途を含むAI研究用部品も対象に含めた。戦略国際問題研究所(CSIS)で重要鉱物を専門とするグレーセリン・バスカラン氏は「これまでで最も厳しい輸出規制だ。中国は世界の企業を従わせる力を持つことを示した」と指摘した。

ASMLやアプライド・マテリアルズの装置は精密レーザーや磁石などレアアースを多く使用しており、影響が懸念される。ジョージタウン大学のジェイコブ・フェルドゴイス氏は、製造工程でレアアース化学品を使う半導体メーカーや装置メーカーが最も打撃を受けるとの見方を示した。

今回の規制を政治的な駆け引きとみる向きもあるが、中国の動きはむしろ米中対立を深めた。トランプ氏は関税を来月から130%に引き上げる方針を示し、レアアース規制を「敵対的な行動」と非難。習近平国家主席との会談中止の可能性にも言及した。

トランプ氏はSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で「中国が世界を人質に取ることは許されない」と主張した。両国は今年春、一時的に関税を緩和し、レアアース輸出を再開することで休戦していたが、対立は再び激化している。

原題:Global Chip Supply Chain Braces for Renewed US-China Trade War(抜粋)

--取材協力:Petra Sorge、古川有希、Christina Kyriasoglou、Joe Deaux、Mackenzie Hawkins、Josh Xiao、Josh Wingrove、Kamil Kowalcze、Michael Nienaber.

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