ウクライナのゼレンスキー大統領は、東部領土の帰属問題を国民投票にかける可能性に言及した。ロシアとの戦争終結に向けた和平案の条件を受け入れるよう、ウクライナには圧力が強まっている。

ロシアは4年近くに及ぶ侵攻でも軍事的に占領できていないウクライナ東部のドネツク州、ルハンシク州の一部から、ウクライナ軍が撤退することを要求している。

ゼレンスキー氏はトランプ政権による最新の和平案を巡って交渉しているが、ウクライナがロシアへの領土割譲を検討することはないとの姿勢を崩していない。

ゼレンスキー氏は11日にキーウで記者団に対し、「ロシアはドンバス地方全体を欲しがっている。われわれはそれを受け入れない」と主張。「この問題に答えを出すのは、ウクライナ国民だと確信している。選挙または国民投票の形で、ウクライナ国民に発言権が与えられなければならない」と述べた。

米国とウクライナ、ロシアの間で続く交渉では、停戦合意の可能性にわずかながら近づいているものの、ウクライナの領土を巡る問題が争点となっている。ゼレンスキー氏によると、米国は争点となっているウクライナ東部を「自由貿易地域」と呼び、ロシアは「非武装地帯」と呼びたい意向だという。

「米国は適切な形式を模索している。これがどう展開していくのか、見守る必要がある。現時点では、わが軍にかかっている部分が大きいと思う」とゼレンスキー氏は語った。

ウクライナ支援国は11日、最新の和平計画草案について議論する。前日にはトランプ米大統領と英独仏の首脳が電話会談を行った。ドイツのメルツ首相は米欧双方が条件を巡る一致を模索する中で、週末にかけて進展があることに「比較的楽観」していると述べた。

メルツ氏は北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長とベルリンで会談した後、「何より重要なのは、ウクライナが領土でどれほどの譲歩をする用意があるかだ。だが、これはウクライナの大統領と国民が答えるべき問題だ」と話し、「われわれはトランプ大統領にこの点を明確にした」と明らかにした。

ゼレンスキー氏は、20項目から成る和平の枠組みに関する草案について自身のチームが日々取り組んでいると説明。ウクライナ側は10日遅く、米国に修正案を送付した。草案は最終版ではないと、ゼレンスキー氏は付け加えた。

「この計画は絶えず修正され、書き換えられている。進行中のプロセスで、今も続いている」とゼレンスキー氏は語った。

同氏はまた、戦後復興と経済開発についてベッセント米財務長官、トランプ氏娘婿のジャレッド・クシュナー氏、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)と協議中で、米国と経済合意を結ぶ可能性に楽観を示した。

原題:Zelenskiy Floats Referendum Over Territory as US Pressure Mounts(抜粋)

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