米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、ここ数カ月の雇用者数の伸びはマイナスになっている可能性が高いと指摘。現在のところ労働市場が最大の懸念要素だと述べた。

ウォラー理事は10日、米経済専門局CNBCのインタビューで「ここ数カ月の雇用の伸びは恐らくマイナスだ」と発言。「労働市場は弱く、それこそが政策を判断する上で最も重要な部分だ。われわれが把握すべき点はそこある」と述べた。

ウォラーFRB理事

9月の雇用統計は先週発表の予定だったが、連邦政府機関の閉鎖により遅れが生じている。ウォラー氏は、ADPリサーチ・インスティテュートなどの民間機関の雇用データが労働市場の軟化傾向を裏付けていると指摘した。

「そうしたデータは包括的とは言えず、非常に限定的なものだが、いずれも同様の状況を示している」とウォラー氏は語った。

ウォラー氏は、利下げを継続したいとの意向を示しつつも、政策当局者は慎重に対応すべきだと強調。労働市場が弱含む一方、経済成長には力強さが見られるようだと指摘した。アトランタ連銀の予測モデルによると、米国内総生産(GDP)は、2025年7-9月(第3四半期)に年率換算で約4%成長したとみられている。

「いずれかが調整されることになる。労働市場がGDP成長に整合する形で回復するか、GDP成長が鈍化するかのどちらかだ」とウォラー氏。「だからこそ慎重さが必要になる」とし、「利下げに向かいたいが、方向を見誤るような大きな失策を避けるため、積極的かつ急速に進めることはしない」と語った。

年内の残る2回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合については、それぞれ0.25ポイントの利下げを支持すると述べた。

「新しいデータが入れば、その都度軌道修正できる」とし、「まず0.25ポイントずつ進めて様子を見ながら判断することが可能だ」とウォラー氏は語った。

ウォラー氏は、次期FRB議長の有力候補の一人。CNBCはこの日、ベッセント米財務長官が面接を経て候補者を11人から5人に絞り込んだと報じた。5人にはウォラー理事も含まれる。

ウォラー氏は、自身が最終候補に残っているかどうかは分からないと発言。面接はうまくいったとし、経済に関する真剣な議論が行われたと説明した。また「政治的な要素は一切なかった」と述べた。

原題:Waller Says Job Market Biggest Concern, Payrolls Likely Negative(抜粋)

(ウォラー氏の発言内容を追加し、更新します)

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