(ブルームバーグ):米国で個別銘柄を対象としたレバレッジ3倍型の上場投資信託(ETF)を申請する動きが相次いでいる。一方、欧州では同様の高レバレッジ商品の一つが取引停止に追い込まれ、そのリスクを浮き彫りにした。
ロンドンとイタリアで上場していたグラナイトシェアーズの「3x Short AMD exchange-traded product」は6日、取引が停止された。この上場投資商品(ETP)はアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価が下落すると3倍のリターンを提供するもので、集めた資産は約300万ドル(約4億5800万円)だった。AMDの株価が一時38%の大幅上昇となった結果、商品の価値が吹き飛んだ形だ。
グラナイトシェアーズはウェブサイトに掲載した通知で、「NAV(純資産総額)がゼロになったため償還金の支払いは行われない」と発表した。同ETPは取引所の手順に従って上場廃止となる予定。同社のウィル・リンド最高経営責任者(CEO)はコメントを控えている。
今回のETP破綻に先立ち、グラナイトシェアーズやディファイアンスETFs、プロシェアーズなど各社は、株式市場で最も注目を集める取引の一部に対して日次(にちじ)リターンを3倍にするレバレッジ型ETFの申請を米証券取引委員会(SEC)に行っていた。
単一銘柄を対象にしたレバレッジ3倍型やインバース3倍型などの金融商品は欧州市場には存在するものの、米国ではSECが定めるボラティリティー規制で倍率の上限が設けられているため取引が許されていない。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアタナシオス・プサロファギス氏は「今回の事例はレバレッジ3倍型ETFの破綻リスクを証明したと思う」としつつも、「この出来事で投資家が思いとどまるとは思えない」と語った。
米国の発行会社は、申請が通れば数十種類に及ぶ高レバレッジ商品を市場に投入する計画だ。その中には、電気自動車メーカー(EV)テスラ株や、不動産売買のオンラインプラットフォームを手掛けるオープンドア・テクノロジーズといったミーム株、ビットコインやイーサ、ソラナをはじめとする暗号資産(仮想通貨)など、ボラティリティーの高い銘柄を対象にしたレバレッジ3倍型やインバース3倍型のETFが含まれている。
原題:AMD Product’s Total Wipeout Offers Warning as Firms Seek 3x ETFs(抜粋)
--取材協力:Sam Potter.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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