来週の円相場は下落基調が続くと予想されている。日本の政局を巡る不透明感や財政拡大への警戒感から、円に対する売り圧力は強い。

◎あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジスト

  • 日本の政局の行方が最大の注目材料。自民党と公明党の連立が維持されると、一定程度懸念が晴れ、円売り圧力は緩和されそうだ。決裂なら野党と連携せざるを得ず、財政拡張の思惑から円売りが強まる可能性がある
  • 9日夜の高市早苗自民党総裁の発言は、昨年の総裁選当時と比べだいぶマイルド。円安の抑制材料とみるが、政権の枠組みが固まっておらず、円を買い進みにくい
  • ドル・円が155円を超えると為替介入への警戒感が強まる。今の水準でも円安によるインフレ懸念で日本銀行の利上げ観測が高まるほか、トランプ米大統領が今月来日予定で、ここから上の水準は攻めづらくなる
  • 16日に日銀の田村直樹審議委員、17日は内田真一副総裁の発言機会があり、金融政策スタンスに注目
  • 予想レンジは1ドル=150円-155円

◎三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長

  • ドル・円は高市トレードがどこまで続くかが注目され、広めの値幅で水準を切り上げる展開を予想
  • 短期売買中心の投機筋は円ショート(売り)で挑むとみられ、チャート上も特段の上値のめどはなく、155円付近に上昇しそうだ
  • 自公の連立維持が決まると多少円買いとなりそうだが、残りはどの党と組むかを探ることになる
  • 過去の介入はスピード感もあるが、おおむね1カ月で10円程度動いた局面が多い。9月17日の145円台半ばから10円程度円安の155円台では口先介入が強まり、ドル・円の上値は重くなるだろう
  • 首相指名で野党が一本化することはなく、高市氏が首相になるメインシナリオは変わらない。政策は妥協点を見いだし、マイルドになるとみられる
  • 予想レンジは1ドル=150円-155円

主な予定

  • 15日:米地区連銀経済報告(ベージュブック)
  • 15日:20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(16日まで、ワシントン)
  • 16日:日銀の田村審議委員が講演、記者会見
  • 17日:日銀の内田副総裁が全国信用組合大会であいさつ

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.