イスラエル政府は、イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザで拘束した人質全員を解放する代わりに、イスラエル側が2000人超の収監者を釈放する取引を承認した。和平合意の履行と戦争終結に向けた重要な一歩となる。

イスラエル首相府はX(旧ツイッター)への投稿で、人質全員の解放を盛り込んだ枠組みを政府が承認したと明らかにした。遺体の引き渡しも含まれる。

承認に向けた閣議の場には、トランプ氏の顧問で娘婿のジャレッド・クシュナー氏と米国のウィトコフ中東担当特使も同席した。合意の承認を得るというネタニヤフ首相の計画が反対勢力によって頓挫するのを防ぐ狙いがあったとみられる。今回の承認により、人質の解放は今後3日以内に実現する見通しとなった。

ネタニヤフ首相は閣議の映像で、両氏に対し「個人的に感謝したい」と発言。「過去2年間で極めて重要な局面に達した。われわれはこの間、戦争の目的を達成するために戦ってきた。その中心は人質全員、すなわち生存者も死者も取り戻すことだった。そして今、まさにそれを達成しようとしている」と語った。

イスラエル政府による承認は予想されていたものの、和平交渉の第1段階における締めくくりとなった。ハマス側も同日、戦争終結で合意したと発表していた。

動画:トランプ大統領はイスラエルを訪問する予定だと述べた

トランプ米大統領は9日、イスラエルを訪問し人質解放の現場に立ち会う意向を示した。ハマスはガザで拘束している残り48人の人質を引き渡す予定で、このうち20人が生存しているとみられる。代わりにイスラエルは約2000人のパレスチナ人収監者を釈放し、国連機関などを通じたガザへの人道支援を大幅に拡大する。

ただし課題は残る。米政府高官2人は9日夜、匿名を条件に記者団に対し、今回の合意には2段階があると述べた。一つ目が人質解放、二つ目が「ほぼ恒久的な停戦」で、武装解除やガザ新政府の樹立、イスラエル軍の再配置といった問題が協議されるという。

高官らは、今回の合意がうまくいかない可能性が多くあると認めつつも、トランプ氏が政権一期目で署名したイスラエルとアラブ諸国の関係正常化に向けた合意「アブラハム合意」の拡大に再び弾みをつけたい考えだと述べた。

原題:Israel Government Approves Gaza Hostage Deal, PM’s Office Says(抜粋)

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