(ブルームバーグ):世界的に株式相場は最高値圏にあるものの、ヘッジファンドを含む一部投資家は慎重姿勢を崩していないことが、JPモルガン・チェースのポジショニングデータで示された。
「依然としてやや慎重なポジションを取っているように見受けられる投資家グループの一つがマクロ系ヘッジファンドだ」とニコラオス・パニグリツグルー氏率いるJPモルガンのチームはリポートで指摘した。マクロヘッジファンドの株式市場へのエクスポージャーを示す指標である株式ベータは、ここ数カ月でわずかに上昇したものの、依然として小幅なマイナス圏にとどまっているという。

世界的に株式相場は、トランプ米大統領が「解放の日」と呼んで4月に関税を発表した後の底値から急騰してきた。底堅い経済指標やリセッション(景気後退)懸念の後退、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測を背景に、買い戻しが進んだ。人工知能(AI)ブーム関連銘柄への投資意欲も冷める気配はなく、米国の巨大テクノロジー株が主要株価指数を相次いで史上最高値に押し上げている。
JPモルガンの同ストラテジストらによれば、米株先物の投機的ポジションは長期的な中央値に比較的近い水準にある。2024年から25年1-3月(第1四半期)にかけては中央値を大きく上回る水準が続いていたという。株価が最高値圏で推移しているにもかかわらず、全体的なエクスポージャーが過去の平均並みにとどまり、過度な拡大は見られない。
さらに、ナスダック100指数に連動する上場投資信託(ETF)のインベスコQQQトラスト・シリーズ1(ティッカー:QQQ)の空売り比率は、24年初め以降に定着した比較的低い水準の範囲内にとどまっている。S&P500種株価指数に連動するETFのSPDR・S&P500ETFトラスト(同SPY)の空売り比率は、解放の日前後に急上昇した分を一部しか巻き戻しておらず、一定の慎重姿勢が残っていることが示唆される。
「投機筋の米国株エクスポージャーは特段高い水準にあるわけではなく、理論的にはさらに拡大する余地があることを示唆している」と同ストラテジストらは記した。
原題:JPMorgan Strategists Say Hedge Funds Cautious on Equity Exposure(抜粋)
--取材協力:Sagarika Jaisinghani.
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