ベッセント米財務長官は、主要な財政指標である財政赤字の対国内総生産(GDP)比が低下したことを挙げ、トランプ大統領の経済政策がリセッション(景気後退)を引き起こすことなく効果を上げている証左だと強調した。

ベッセント氏は9日、米連邦準備制度理事会(FRB)が主催した地域銀行関連の会議で、「財政赤字の対GDP比は今や『5%台』になった」と発言。同比率は2024年には「戦時でもリセッション期でもない時としては米史上最も高かった」と述べた。

超党派の米議会予算局(CBO)は8日、9月の連邦歳出・歳入および2025会計年度(24年10月-25年9月30日)全体の推計を公表した。財務省による公式なデータは政府機関閉鎖により公表が遅れていると、ベッセント氏は説明。2026会計年度の歳出法案が議会で可決されるまで発表は見送られるとした。

ベッセント米財務長官(ワシントンで10月9日)

CBOの試算によると、25会計年度の財政赤字は1兆8000億ドル(約275兆円)で24年度とほぼ変わらなかった。ただし、CBOの国内総生産(GDP)予測値に基づくと、財政赤字の対GDP比は5.9%に縮小した。財務省のデータによれば、2024年度の同比率は6.4%だった。

ベッセント氏はこれまで、政府債務の持続不可能な増加傾向への懸念から、公的な政策論議に関与する決意を固めたと語ってきた。この日は約2年前のトランプ氏とのやり取りを振り返り、「『スコット、リセッションを起こさずに債務と財政赤字を減らすにはどうすればいいだろうか』とトランプ氏は私を見るなり、開口一番に言った」と述べた。

税制改革

トランプ政権による関税引き上げは、関税収入を過去最高水準に押し上げ、財政赤字の抑制に寄与している。しかしCBOのデータでは、歳出は引き続き増加しており、政権による法人減税が歳入を押し下げていることが示された。また、2025年に公的債務の利払いが初めて1兆ドルを超えたことも明らかになった。

ベッセント氏は、トランプ政権2期目の終了までに財政赤字の対GDP比を「3%台」に引き下げたいとの考えをこれまでに示している。

「われわれはその方向に進んでいる」とし、「それをきょう確認できたと思う」と話した。

同氏はまた、トランプ氏の看板政策である大型減税・歳出法案「一つの大きくて美しい法案」により、来年は財務省による税還付が増える見通しだとも語った。

原題:Bessent Touts Drop in Deficit-to-GDP Ratio, Sees Tax-Refund Wave(抜粋)

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