チェコで4日に投票が締め切られた下院選(定数200)は、バビシュ前首相が率いる最大野党のポピュリスト政党「ANO2011」が第1党を奪還する見通しとなった。バビシュ氏はウクライナへの軍事支援を抑制する方針などを掲げている。

チェコ統計局の発表によると、開票率約95%時点で同党の得票率は36%。フィアラ首相率いる与党連合は23%にとどまった。

バビシュ氏(71)は、トランプ米大統領に触発された「自国最優先」というスローガンを掲げ、国内を遊説した。経済成長の再加速、法人税の引き下げ、緊縮政策の終結を柱とする政策を訴えた。

生活費高騰で現政権の対応に不満を募らせる有権者の声を取り込みながら、バビシュ氏は「チェコ国民を貧しくしている政策を終わらせる」と主張。欧州連合(EU)が掲げる理念よりも、現実的な取引を重視する政治を通じ、自国の地位を高める方針を示してきた。

政権返り咲きによって同氏は、ハンガリーのオルバン首相やスロバキアのフィツォ首相など、EU批判を強める地域のポピュリスト指導者の一角に加わることになる。前政権時にはより現実的なリーダーシップを示していたバビシュ氏だが、防衛費や移民政策をめぐっては、EUの潮流に逆らう姿勢を明確にしている。

原題:Czech Billionaire Set to Return to Power After Election Win (2)(抜粋)

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