(ブルームバーグ):日本銀行の内田真一副総裁は2日、9月の企業短期経済観測調査(短観)について、米関税政策を巡る先行き不透明感後退との見方で改善したとし、企業の業況感は良好との認識を示した。都内で行われた全国証券大会であいさつした。
内田氏は、企業の業況判断指数(DI)が改善したことを踏まえ、「日米関税交渉の合意により、先行きの不透明感が後退したとの見方から、製造業の一部で改善」したと指摘した。企業の業況感は「全体としても良好な水準」とし、企業収益も高水準と評価した。
その上で、金融政策運営は「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と説明。見通しが実現するかは、「内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していく」と語った。
日銀が1日発表した短観では、大企業製造業の景況感が2四半期連続で改善した。植田和男総裁は9月の会見で、米関税政策の影響について「今後のデータやヒアリング情報を確認していきたい」としており、良好な短観の評価は日銀シナリオに沿った動きと言える。
日銀幹部が9月短観の評価を公式に示すのは今回が初めて。副総裁の発言後、円相場は対ドルで一時146円90銭まで買われる場面があった。午後4時10分現在、147円10銭台で推移している。
政策判断で重視している基調的な物価上昇率については、成長ペースの鈍化などの影響を受けていったん伸び悩むことが見込まれると説明。ただ、日銀が展望リポートで示している見通し期間の後半には「物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との考えを示した。
金融政策を巡っては、9月の決定会合で高田創、田村直樹両政策委員が利上げを提案して政策維持に反対。利上げに慎重とみられていた野口旭委員が講演で前向きな発言を行っている。早期利上げに向けた日銀内の議論の広がりを受け、市場では次回10月会合での利上げ予想は一時70%近くまで高まった。足元は63%付近となっている。
加えて、日銀は国内政治の不確実性にも直面しており、当面は選択肢を残しておく動機にもなり得る。今週末に自民党総裁選が行われ、今月中にも新首相が選出される見通しだ。
共同通信は2日、自民党総裁選に立候補している高市早苗前経済安全保障担当相が日銀の金融政策に関する質問に対し、0.5%程度としている現在の政策金利を「維持すべきだ」と回答したと報じた。他候補は金利の調節について回答を控えた上で、日銀の判断を重視する姿勢を示したという。
他の発言
- 景気は一部に弱めの動きみられるが緩やかに回復
- 各国通商政策受けた海外経済・物価の不確実性高い
- 現在の実質金利、極めて低い水準にある
(共同通信の報道を追加して更新します。)
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