(ブルームバーグ):1日の日本市場では株式が下落。米国の連邦政府機関閉鎖を背景に投資家心理が悪化したほか、下期入りで9月までの相場上昇を受けた利益確定売りが膨らんだ。円は1ドル=147円台前半に上昇、債券はもみ合い。
米国では暫定予算案が否決されたことで、約7年ぶりに政府機関の閉鎖に見舞われることとなった。トランプ大統領は閉鎖となった場合、職員を一斉解雇する意向を示していた。労働省労働統計局(BLS)は3日に予定している9月の雇用統計発表を延期する方針だ。
ピクテ・ジャパンの松元浩シニア・フェローは、政府機関の閉鎖で米国株に先行き懸念が出てきた上、「日本株は9月の四半期末にかけて買い上げられて急上昇したことが剝落している」と述べた。
日本銀行が発表した企業短期経済観測調査(短観、9月調査)では、大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス14と前回から改善した一方、先行きはプラス12と悪化が見込まれている。市場では予想通りとの見方が多い。
株式
株式はほぼ全面安だった。銀行や保険といった金融や不動産の下げが大きく、電機や機械、自動車など輸出関連も下落。半面、医薬品は買われた。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、これまでの上昇相場を受けて「今のうちに益出ししておこうと考える投資家は多いだろう」と話した。
ピクテの松元氏は日銀短観について、予想の範囲内だったとした上で「日銀が金利を上げていく方向性は変わらず、日本株にボディーブローのように効いてくる」とみている。
三菱UFJフィナンシャル・グループがTOPIXの下落寄与度1位。TOPIX銀行業指数は3.1%安と約1カ月ぶりの下落率となった。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、昨日まで日銀の利上げ観測が高まり買われ過ぎた面があったと指摘した。
外国為替
円相場は1ドル=147円台前半に上昇。米政府機関の閉鎖がドル売りにつながった。
みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは米政府機関の閉鎖について、これまで何回も閉鎖して予算を可決しており「市場の耐性はあるのでショック的な動きにはならない」としつつも、「経済にはマイナスで利下げ方向とみられ、ドル・円の重し」と述べた。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、閉鎖は短期間で終われば経済への影響は限定的、為替への影響は出づらいとみていたが、ドル安に効いている」と話した。
日銀短観の発表後、円は下落する場面もあった。みなと銀行の苅谷氏は「日銀短観は経常利益では大企業製造業の下期計画が弱い」と指摘。為替市場は企業業績が減益では利上げも難しいとみたのではないかと語った。
債券
債券はもみ合い。日銀短観が予想通りだったことを受けて、今月の利上げには追加的な材料が必要との見方から買いが優勢になったが、あすの10年利付国債入札を前に調整の売りが出て押し戻された。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、短観は予想通りで「これだけでは10月利上げの決定打にはならず、市場は落ち着いている」と語る。利上げの有無を判断する上で、週内に予定される植田和男総裁と内田真一副総裁の講演で「短観の評価を聞く必要がある」と言う。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、10年債入札は「10月利上げが予想される中で十分な需要が集まるか不安がある」と指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:長谷川敏郎.
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