(ブルームバーグ):4日に行われる自民党総裁選を巡り、有力候補の一人に位置づけられる小泉進次郎農林水産相が勝っても、昨年の総裁選後に株価が急落した「石破ショック」の再来はないとの見方が日本株ストラテジストらの間で広がっている。
昨年の総裁選は、全候補者が過半数に届かなかった1回目の投票で獲得票数1位の高市早苗前経済安全保障相と2位の石破茂首相が決戦投票に進み、最後は石破氏が逆転で勝利。石破氏は財政規律重視派と市場でみられていたため、緊縮財政や金融所得課税強化への警戒感から翌営業日の東証株価指数(TOPIX)は3.5%安と売り込まれた。
一方、7月の参院選で自民党が敗北し、党内から責任論が強まっていた石破首相は9月7日、日米関税交渉が決着したことを理由に辞意を表明。TOPIXのパフォーマンスは8日以降プラス圏で推移しており、同26日には史上最高値を更新した。この間、今回の総裁選で積極財政・金融緩和維持派の高市氏が勝利する期待を織り込んできたとの見方が株式市場関係者の間では多い。
責任ある積極財政を掲げる高市氏は、物価高対策の財源について必要なら赤字国債の発行も辞さない考えを示している。
共同通信が9月27、28日に総裁選への投票資格がある人を対象に行った調査では、新総裁にふさわしい候補者のトップは高市氏で、小泉氏と林芳正官房長官が続く。国会議員への調査では、支持を最も集めているのが小泉氏で、林氏と高市氏が続いていると報じていた。
【ストラテジストや投資家の見方】
岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト
- 小泉氏が勝てば株価調整は免れないだろうが、一時的で済み、石破ショックまではいかないだろう
- 政策運営が落ち着き、今より状況が良くなることを市場は好感する
- 世界の大きな流れとして保守的なポピュリズムが台頭する中、小泉氏が本当に選ばれるのか疑念を持つ投資家もいる
ゴールドマン・サックス証券のチーフ日本株ストラテジスト、ブルース・カーク氏
- 誰が勝っても政治の不透明感がなくなり、市場はポジティブに反応する可能性がある
- 先週シンガポールに出張した時に会った顧客は、構造改革や日本銀行の政策正常化の見通しを踏まえて小泉氏の勝利を望む声が多かった
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャー
- 小泉氏が選ばれても、野党との連携である程度の景気対策が見込まれ、前回の石破ショックのようにはならないとみる
- 総裁選でいったん材料出尽くしになりそう、次は中間決算を見極めにいく雰囲気になるのではないか
東洋証券の大塚竜太ストラテジスト
- 小泉氏が勝てば、相場は一時的に下げると予想
- 仮にそうなっても国内景気の堅調さや企業業績の回復期待などを背景に、株価は再び上昇基調になるだろう
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