パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のエマニュエル・ロマン最高経営責任者(CEO)は29日、米国のトランプ大統領による関税の影響はまだ全面的には現れておらず、その行方次第では米株式市場の見通しを押し下げる可能性があると指摘した。ブルームバーグテレビジョンのインタビューに答えた。

ロマン氏は、データセンターのブームのように経済には明るい部分があるとしたうえで、「巨大企業の外を見れば、米国の産業界の状況は決して良くない」と語った。また、「売上高は伸びていない。分からないのは、関税の影響と、企業が価格転嫁や利幅縮小といった問題にどう対応するかということだ。私たちがまだ見ていない要素が存在している」と述べた。

パシフィック・インベストメント・マネジメントのエマニュエル・ロマンCEO

ロマン氏によると、ピムコは今後3年間で米国株式市場が約6%のリターンをもたらすと見込んでいる。

同氏は世界金融危機直前の2005年や2006年を引き合いに出し、「長い間、物価が高止まりしている時期が続いている。その後に何かが崩れると、突然多くの修復が必要になる」と指摘した。

ピムコは、アセットベースファイナンス(ABF)に投資機会があると強調している。同社は最近、260億ドル(約3兆8600億円)規模の負債調達で競合を退け、フェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズがルイジアナ州に建設を計画しているデータセンターの資金調達を主導した。ピムコはオルタナティブ(代替)資産運用のブルー・アウル・キャピタルと組み、過去最大規模のプライベート・ファイナンスの一つとなったこの調達を成立させた。

ロマン氏は「データセンターには資金とエクイティの膨大な需要がある。非常に大きな規模で数多くの資金調達取引が行われ、多くの建設が進むだろう。米国だけでなく、世界の他の地域でも同じだ」と述べた。

ロマン氏によると、ピムコはデータセンターを稼働させるためのエネルギー需要があることから、天然ガスにも強気の見方をしている。また同氏は、債券市場の投資機会について「非常に大きく、市場の平均を上回る収益を積み増すチャンスもかなり高い」との見方を示した。

ピムコの運用資産総額は2兆ドル超で、債券運用会社としては世界最大級。

パシフィック・インベストメント・マネジメントのエマニュエル・ロマンCEOは、トランプ米大統領による関税の影響がまだ全面的には現れておらず、米株式市場の見通しを押し下げる可能性があると指摘した

原題:Pimco CEO Roman Says Tariff Uncertainty Poses Risks to US Stocks(抜粋)

--取材協力:Lisa Abramowicz、Jonathan Ferro.

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