インドのタタ・モーターズ傘下の英自動車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)は、サイバー攻撃による生産停止で資金繰りが悪化する中、世界の銀行に20億ポンド(約4000億円)の緊急融資を要請した。インド紙エコノミック・タイムズ(ET)が報じた。

同紙によると、英銀スタンダードチャータード、米シティグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が緊急融資枠を提供することに合意し、その後、貸付債権を売却またはシンジケート化してより多くの金融機関に分散する見通し。期間1年半の融資枠には確約されたバックストップ措置が設定されており、JLRが収益損失を乗り越えるための流動性を確保していることを示す狙いがあるという。

タタ・モーターズの広報担当者はET紙の取材にコメントを控えた。今回の資金調達は、英輸出信用保証局の保証付きで商業銀行が貸し出す15億ポンドの融資とは別枠であり、この融資は今後5年かけて返済される予定だという。

JLRはサイバー攻撃によって事業運営が大きく混乱し、英国の自動車サプライチェーン全体に影響が及ぶ事態に直面。今月初めから英国、スロバキア、ブラジル、インドの工場が操業を停止している。JLRは一部仕入れ先への未払い金の処理に取り組む中、入金を待つ取引先もある。

同社は先週、一部システムが復旧したと発表。仕入れ先への請求書処理のほか、ディーラーへの部品配送や車両の販売・登録の迅速化が可能になった。10月1日には一部生産ラインの再開を目指しているが、完全復旧までには時間がかかるとしている。

原題:Jaguar Land Rover Seeks £2 Billion Emergency Funds, ET Says(抜粋)

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