26日の日本市場では日経平均株価が4営業日ぶりに反落した。米国株が割高感への警戒や利下げ期待の後退から下げたことや、トランプ米大統領の分野別関税が重しとなった。債券は長期債中心に下落。円は対ドルで149円台後半で推移した。

米国では堅調な経済指標を受けて利下げ観測がやや後退し、25日の主要株価指数は続落した。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは、国内でも米国株に連動しやすい人工知能(AI)関連が相場を押し下げていると指摘した。日経平均は前日まで3営業日連続で最高値を更新していたため、過熱感も利益確定売りを誘った。

トランプ大統領が「企業が米国内に医薬品工場を建設していない限り、ブランド化または特許取得済みの医薬品に100%の関税を課す」と発表し、医薬品も売られた。一方、東証株価指数(TOPIX)は食品や建設といった内需関連中心に幅広い銘柄が上昇し、連日で最高値を更新した。

株式

株式は日経平均が下落。個別ではソフトバンクグループや東京エレクトロン、ディスコなどAI関連で売りが膨らんだ。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは米ハイテク株安が国内のAI関連の重しとしつつ、長い目で見て大きく崩れる要因にはならないと述べた。

半面、銀行など金融や商社、不動産など内需関連は上昇。トヨタ自動車やダイキン工業、デンソーなど輸出株の一角も上げた。

岡三証券の松本氏は、配当取り狙いの買いや為替が前日夕方時点と比べて円安に振れたことなどが相場を支えたとし、「米景気が堅調なことも一部の輸出企業には追い風だ」と話していた。

債券

債券は長期債中心に下落。朝方発表された東京都区部の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことを受けて買いが先行したが、金融政策への影響は限定的との見方から下げに転じた。

9月の東京都区部CPIは生鮮食品を除くコア、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアともに2.5%上昇と、いずれも市場予想(それぞれ2.8%上昇、2.9%上昇)を下回った。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、都区部CPIの下振れは「東京都の保育料無償化の影響で全国レベルの話ではないため、金融政策には影響ないだろう」と話した。スワップ市場が織り込む10月の利上げ確率はCPI発表後も55%程度で変わっていない。

東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、財政拡張懸念も一服して超長期債の地合いは悪くないが、引けにかけて週末を前にしたポジション調整の売りが出たと言う。

佐野氏は10月の利上げは五分五分とした上で、関税政策の影響を見極められないタイミングで利上げに踏み切れば、市場は先々の利上げを十分織り込んでいないため金利が大きく上昇するリスクがあるとみている。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は一時約2カ月ぶり安値を更新して1ドル=150円に迫った。その後はやや戻して149円台後半で推移した。米国の堅調な経済統計を受けて長期金利が上昇し、ドル高が進んだ流れを引き継ぐ中、東京CPIが予想を下回り円売りにつながった。

三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「堅調な米経済統計を背景に金利が上昇してドル高の流れが来ている」と指摘。節目の水準が意識されて投資家は様子見だとし、「何か追加の材料が出ればドル・円は150円を抜けてくるだろう」と述べた。

三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリストは「東京CPIは保育料無償化の影響でやや下振れたが、基調的な部分からは利上げが遠のいた印象はない」と述べた。来週は日本銀行の野口旭審議委員の講演に始まり連日のように日銀関連の材料が予定されており、「10月利上げの地ならしに本格的に着手するかがある程度見えるだろう」と話した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:我妻綾.

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