米国では2025会計年度(24年10月-25年9月)末を迎え、つなぎ予算が直ちに成立しなければ、10月1日から政府機関の一部が閉鎖に追い込まれる。ホワイトハウスはその機会を捉え、連邦職員の大量解雇を行うと警告した。

これまで度々繰り返され、市場もそれほど警戒しなくなった政府機関の閉鎖だが、今回は米政府が連邦職員の解雇に動く構えを見せ、政治的・経済的リスクが高まっている。

直近の政府機関の閉鎖は、トランプ政権1期目の2018年末から19年初めにかけ1カ月余り続き、米国史上最長となった。その後は土壇場の歩み寄りで混乱を回避してきたが、今年は共和、民主両党が態度を硬化させ、閉鎖がほぼ確実視されている。

ホワイトハウスは24日遅くに出した内部文書で、政府機関が閉鎖になれば、トランプ氏の優先課題に沿わない政府プログラム職員の広範な解雇につながると警告した。オバマケア医療保険制度の補助金延長やメディケイド(低所得者向け公的医療保険)支出削減の撤回を求める民主党指導部は、医療分野で歩み寄りがなければ、歳出案を受け入れない立場だ。

民主党はオバマケアの補助金やメディケイドの不法移民への適用を求めていないが、トランプ氏は25日、民主党が「不法滞在者」に医療アクセスを与えたがっていると主張した。

共和、民主両党の強硬な戦術は、労働市場の減速に既に直面する米景気にとってさらに妨げとなる。ワシントンでの対立と、それが失業や主要経済指標の発表に及ぼす影響を投資家は注視している。

シティグループのチーフ米国エコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は、政府閉鎖の過程で実施されるレイオフにより「短期的な景気の重し」が増大する恐れがあると指摘。「少なくとも初期段階で、市場にとって最も顕著な影響は、9月の雇用統計を含む主要統計の発表の遅れだろう」と予想した。

ホワイトハウスは、政府機関が閉鎖になれば、トランプ氏の優先課題に沿わない政府プログラム職員の広範な解雇につながると警告した

一部の投資家によれば、政府閉鎖を巡る不安が25日の米株市場で相場の下落要因の一つとして働いた。

S&P500種株価指数は午前の下げを縮小したが、Fnyキャピタル・マネジメントのビクラム・ライ氏は「政府閉鎖の混乱」が解消するまで、株価は今後下落基調となる可能性が高い」との見解を示した。

 

原題:Economic, Political Stakes Loom as US Shutdown Threat Rises (1)(抜粋)

--取材協力:Reade Pickert、Kate Sullivan、Tatiana Darie、Liz Capo McCormick.

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