10月第1週(9月29日-10月3日)の債券市場は長期金利に上昇圧力がかかるだろう。日本銀行の早期利上げ期待が根強いことに加え、米国の雇用統計や自民党総裁選の投開票を控え、投資家は積極的な買いを手控える公算が大きい。

市場参加者の見方

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

  • 30日までは月末に向けて年金基金によるリバランス(資産配分の見直し)の買いが意識されて相場が支えられるが、月初に10年債と30年債入札があって供給増が意識されるため、金利は上がりやすい
    • 円相場が対ドルで150円に近づいており、10月に入ると日銀の利上げが意識されて警戒感が強まるだろう
  • 10年債入札の翌日に米雇用統計を控えており、失業率で強い数字が出ると米金利が上がる可能性があるため、投資家は慎重になりやすい
  • 自民党総裁選は党員集計では高市氏がトップになり、優勢だった小泉氏に追いついてきた
    • 去年と比べて過激な発言は少なく金融政策への影響は限定的とみられるが、総裁選を巡る不透明感を背景に30年債や40年債を買う動きはいったん止まる可能性もある
  • 新発10年債利回り予想レンジ1.64-1.7%

◎T&Dアセットマネジメント債券運用部の浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャー

  • 9月の日銀金融政策決定会合の主な意見で、ボードメンバーがハト派とタカ派に分かれて活発に議論していたことが明らかになると想定
    • 10月利上げ観測が高まり、短いゾーン中心に金利が上振れるだろう
  • 自民党総裁選の国会議員票は小泉氏が優勢で、4日の投開票を待たず、小泉氏勝利に市場が傾く可能性がある
    • その場合、債券市場は「高市トレード」の巻き戻しが起こり、イールドカーブがフラット(平たん)化するだろう
  • 2年債入札は芳しくない結果を予想する
    • 超長期債の発行が減額され、その分が短期ゾーンに割り振られる中、利上げ観測の高まりもあり、2年債入札の重しになるとみている
  • 新発10年債利回り予想レンジ1.57-1.73%

国債入札

日銀買い入れ

主な材料

  • 9月29日:日銀の野口旭審議委員が札幌商工会議所で講演
  • 30日:金融政策決定会合における主な意見(9月18・19日分)
  • 10月2日:日銀の内田真一副総裁が全国証券大会であいさつ
  • 3日:日銀の植田和男総裁が大阪経済4団体共催懇談会で講演し、その後記者会見
  • 3日:9月の米雇用統計
  • 4日:自民党総裁選の投開票

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