(ブルームバーグ):全国の先行指標となる9月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前月から伸びが横ばいとなり、市場予想を下回った。エネルギーが上昇に転じた一方で、保育料無償化の拡大が押し下げ要因となった。
総務省の26日の発表によると、コアCPIは前年比2.5%上昇した。コアCPIの市場予想は2.8%上昇だった。3%割れは3カ月連続。都が9月から保育料無償化の対象を第一子まで拡大したことが影響した。日本銀行が目標とする2%を上回るのは11カ月連続。
保育料の要因がなければ2.8%上昇だった。一部の市場予想にはこの要因が反映されていなかった可能性がある。
今回の統計の下振れは特殊要因の影響が大きい。政策金利の維持を決めた19日の日銀金融政策決定会合では、9人の政策委員のうち2人が利上げを提案した。次回の10月会合を中心に早期利上げ観測が急速に高まる中、市場の思惑は維持されそうだ。
SMBC日興証券の関口直人エコノミストは、「物価の基調としては若干弱まっている方向ではないか」と指摘。「日銀のスタンスは変わらないと思うが、10月の利上げ確率は下がった」との見方を示した。次回利上げは12月がメインシナリオとみている。
エネルギーは2.7%上昇と3カ月ぶりに伸びが拡大した。生鮮食品を除く食料は6.9%上昇と伸びが鈍化。コメ類は46.8%上昇と5カ月連続で伸びが縮小した。

生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.5%上昇と伸びが縮小した。3%割れは6カ月ぶりとなる。市場予想は2.9%上昇だった。総合指数は2.5%上昇と伸びが変わらず。市場予想は2.8%上昇だった。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.5%上昇となり、前月の2.0%上昇からプラス幅が縮小した。保育料無償化の拡大が要因。一般サービスの外食や家事関連サービスはプラス幅が拡大した。
東京外国為替市場では円が対ドルで一時ニューヨーク終値比0.1%安の149円96銭まで下落。東京CPIが市場予想を下回ったことを受けてやや円売りが強まった。
日銀は経済・物価の中心的な見通しが実現していけば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き利上げで金融緩和の度合いを調整していく方針だ。翌日物金利スワップ(OIS)から算出した10月会合での0.25ポイントの利上げ確率は足元で55%程度、年内では74%程度となっている。
総務省の説明
- 前月から最大の押し下げ寄与となったのは保育所保育料
- 教養娯楽耐久財はマイナス幅が拡大。電子レンジやルームエアコンなどが押し下げ寄与
- 押し上げに寄与したのはエネルギーで、政府の電気・ガス料金負担軽減支援は昨年の影響の方が大きかった
- サービスのプラス幅縮小は、ほぼ東京都による保育料無償化の拡大の影響。一般サービスの外食や家事関連サービスはプラス幅が拡大
(詳細やエコノミストのコメント、総務省の説明を追加して更新しました)
--取材協力:藤岡徹、氏兼敬子.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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