8月の米中古住宅販売件数は小幅に減少した。値ごろ感の問題が依然として住宅市場を圧迫していることが示唆された。

中古住宅販売件数は3月以降、400万戸近辺で推移している。

中古住宅販売価格(中央値)は前年同月比2%上昇の42万2600ドル(約6310万円)。2023年半ばからの上昇基調が続いた。価格は新型コロナ禍以降では50%余り上がっており、多くの国民にとって依然として手が届かない水準にある。

NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅ローン金利の高止まりや在庫不足を背景に、住宅販売は過去数年にわたって低迷している」と指摘。「しかし住宅ローン金利は低下しており、市場に出回る物件も増えている。今後数カ月に販売を押し上げるはずだ」と述べた。

米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを再開するとの見方から、住宅ローン金利は過去数カ月に低下してきた。FRBは先週、利下げを実施した。しかし、2021年末のほぼ2倍の水準にある借り入れコストがさらに大きく低下しない限り、住宅市場の回復は緩やかにとどまるとエコノミストらは予想している。

それでも、値ごろ感に対する懸念は徐々に和らぎつつある。オンライン住宅仲介会社レッドフィンの調査によると、米国で人口が多い都市圏の3分の2が先月は買い手市場となり、売り手が買い手を少なくとも10%上回った。

市場に出回る住宅供給は今年に入って緩やかに増加しており、価格上昇を抑える要因になっている。

中古住宅の在庫は8月に1.3%減の153万戸と今年初めて減少したものの、過去5年余りで最も高い水準付近にとどまっている。

NARのユン氏は電話会見で、8月販売件数のわずかな減少について、希望価格で売れずに物件を市場から取り下げる売り手が増えていることを反映した可能性があると分析した。

地域別では、米最大の住宅販売地域である南部で1.1%減の183万戸。北東部では4%減少した。一方、西部と中西部では増加した。

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Existing-Home Sales Edge Down as High Costs Stymie Buyers(抜粋)

(統計の詳細を追加し、更新します)

--取材協力:Chris Middleton.

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