(ブルームバーグ):オランダ政府は来年の国防予算を270億ユーロ(約4兆7000億円)に増額する。北大西洋条約機構(NATO)加盟国が防衛費の支出を2035年までに国内総生産(GDP)比5%に引き上げる目標で合意したことを受けた動きだ。
ハイネン暫定財務相は16日の議会で「将来の欧州の安全を守るためには、さらなる努力が必要だ」と述べ、どのように財源を確保するかが大きな課題の一つだとの認識を示した。
トランプ米大統領からの圧力を受けてNATO加盟国は防衛費の増額で6月に合意。各国はその財源や使途について検討を進めており、可能な限り国内企業を活用する動きも出ている。
24年に初めてGDP比2%を達成したオランダは、26年に2.2%まで引き上げる計画。35年の目標達成には、最大で年間190億ユーロの追加支出が必要になる見通しだ。
一方で、ウクライナへの軍事支援は縮小し、25年に84億ユーロとなっている純支出は26年には63億ユーロに削減する方針だ。

国防省は声明で、通信機器や相互運用性、人工知能(AI)、ドローン(無人機)、クラウド、それにサイバーセキュリティーなどの分野に投資を行っていると説明。人員も現在の7万7000人から30年までに10万人へ増員する方針。
オランダの公的債務は25年のGDP比45%から27年には48%へ上昇する見通しで、借り入れコストの増加や安全保障・防衛分野への投資で今後さらに債務が増加する可能性がある。
先週、ロシアのドローンがポーランドの領空に侵入し、オランダのF35戦闘機に撃墜される事案も発生するなど、安全保障を巡る懸念は高まっている。
世論調査会社イプソスI&Oによると、オランダの有権者の14%が9月に防衛を重視すると回答した。23年10月時点では5%だった。
オランダでは、連立与党内で最大勢力の極右・自由党のウィルダース党首が6月に連立から離脱し、現在は暫定政権が国政を担っている。総選挙は10月29日に実施される予定。
原題:Dutch Hike Defense Spending to €27 Billion After NATO Pledge (1)(抜粋)
--取材協力:Charlotte Hughes-Morgan.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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