米航空大手ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は16日、新しい旅客機の不足が航空業界の足を引っ張っており、自社の機材更新計画や急増するプレミアム旅行需要の取り込みを阻んでいるとの見方を示した。

新造機不足の背景には、エンジン不足やサプライチェーンの混乱があり、特に欧州の航空機メーカー、エアバスへの影響が大きい。米ボーイングも、ユナイテッドが多数発注していた「737 Max-10」などの生産制限や認証の遅れに見舞われてきた。

スコット・カービー氏

その結果、ユナイテッドは既に生産が終了したボーイング757や767などの航空機の一部を、ニューヨークとロサンゼルスやロンドンを結ぶ収益性の高い路線になお使用している。

カービー氏によれば、同社は長く保留してきたエアバスA350の発注を年内に確定させる可能性があるが、納入開始は2030年以降となる見通しだという。

ユナイテッドは乗客の継続利用を促すため多額の投資を行っており、機材交代の遅れは大きな問題だ。同社はフルフラットシートの「ポラリス」やイーロン・マスク氏の衛星通信サービス「スターリンク」を導入。さらに機内食改善に1億5000万ドル(約220億円)を投じるなどサービス強化を進めている。

カービー氏はニューヨークでのインタビューで、「ブランドに忠実な顧客の市場規模は当初の想定を上回っている」と指摘した。

ボーイングの737 Max-10

さらに、「われわれは製品を重視し、価値を求める顧客を獲得している」としながらも、「ブランドロイヤルティーを重視する航空会社であることは、コスト重視の航空会社であるよりも難しく、費用もかかる」と述べた。

ボーイングが昨年、重大事故につながりかねない事態を受けて危機に陥ったことで、ユナイテッドは野心的な計画の見直しを余儀なくされた。カービー氏は737 Maxについて、生産は持ち直しつつあるものの、最大モデルのMax-10や最小モデルのMax-7がいつ認証されるかは依然として不透明だとしている。

原題:United CEO Says Premium Push Running Up Against Planemaker Woes(抜粋)

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