(ブルームバーグ):債券トレーダーの間では、米金融当局が年内残り3回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で少なくとも1回は0.5ポイントの利下げを実施するとの見方を反映したオプション取引が増加している。
FOMCは17日、2025年で初めて利下げに踏み切ると予想されており、0.25ポイント利下げが有力視されている。ただ、労働市場の冷え込みを受けて一部投資家は、インフレが根強い中でも景気悪化に備えて今後数カ月により大幅な利下げが実施されるリスクに対してヘッジを強めている。
短期金利の代表的な指標で米金融政策への感応度が高い担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動した今週の取引では、12月10日のFOMC声明発表の2日後に満期を迎えるオプションに需要が集まっている。
こうしたポジションは、9月、10月、12月会合で最大2回の0.5ポイント利下げ、あるいは3回の0.25ポイント利下げが実現すれば利益を得られる仕組み。スワップ市場では12月までに約0.7ポイントの利下げが織り込まれており、オプション取引はそれよりもハト派的なシナリオを映している。
もっとも、0.5ポイント利下げ観測を前提とした取引にはリスクもある。17日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がより慎重な道筋を示す可能性がある上、関税が消費者物価に与える最終的な影響もなお不透明だ。

スタンダードチャータードのエコノミストは、雇用の伸びの弱さを理由に今週、「遅れを取り戻すための」0.5ポイント利下げが実施されると予想する。ただ、その後の動きについて当局者の意見は分かれており「パウエル議長はさらなる金融緩和について明言しないだろう」とみている。
投資家がハト派的なシナリオに賭ける背景には、ホワイトハウスからの圧力もある。トランプ大統領は繰り返し、利下げが遅過ぎるとしてパウエル議長を批判してきた。今回のFOMC会合では、マイラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が新たにFRB理事に就任し、政策決定に参加する。
原題:Bond Traders Boost Bets on Half-Point Fed Rate Cuts by Year-End(抜粋)
--取材協力:Carter Johnson.
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