補助金や安売りで電気自動車(EV)の市場を形成していくのは「絶対間違っている」。スズキの鈴木俊宏社長はこのように述べ、自動車産業を維持するためには適正価格での値付けが必要と強調した。

鈴木社長は16日に都内で開いたスズキ初のEV「e ビターラ」の発表会で、一部の国でEVの「投げ売り」がされているが、同社はそういった動きにはついていけないと話した。

インドのモビリティショーで展示された「e ビターラ」(2025年1月17日、ニューデリー)

急成長してきたEV市場で減速感が見られる中、一部の国では価格競争が激化している。特にEV普及が進む中国では比亜迪(BYD)などによる値下げ合戦が過熱しており、政府が過当競争を控えるよう呼びかける事態となっている。

「当社としてはEVの良さを理解してもらって、しっかりと適正価格で売っていく活動をしていかないといけない。それがだめだということであれば撤退するしかない」と鈴木社長は述べた。

来年1月16日から日本で販売されるeビターラの国内価格は399万3000円から。国の補助金を考慮しても300万円は超え、先行する日産自動車やホンダの軽自動車規格のEVと比べると高い値段設定となっている。

鈴木社長は、脱炭素化の流れの中で走行中に二酸化炭素を排出しないEVは将来的に「基軸になっていく可能性がある」とした上で、補助金に頼った販売はリスクがあるとの考えだ。補助金が打ち切られれば販売は減少する恐れがあり、自らが設定した価格で「売っていく実力を黎明(れいめい)期の中でつけていくのが必要だ」と述べた。

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