(ブルームバーグ):世界トップのがん専門病院の一つであるメモリアルスローンケタリングがんセンター(MSKCC)が、2%弱の人員削減を計画している。向こう1年で2億ドル(約295億円)余りの赤字が見込まれているためだ。
ニューヨーク市に本拠を置くMSKCCは、今後2カ月にわたって人員を減らす方針で、すでに一部の求人を取り下げるなど経費削減に動いている。ブルームバーグ・ニュースが確認した15日の職員向け電子メールで分かった。このメールでは、削減対象となる具体的な部門は明らかにされていない。昨年時点の職員数は2万1175人だった。
セルウィン・ヴィッカーズ最高経営責任者(CEO)は同メールで、医薬品や医療用品、人件費などのコストが収入の伸びを上回っているほか、競争は激化し、新技術導入に伴う支出も増加していると説明した。
地方の病院システムから一流の研究機関に至るまで、医療施設は、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)など公的医療保険制度への連邦支援削減の影響にも対処している。
MSKCCは電子メールで送付した発表文で、「構造的な赤字は全米の病院や医療機関に影響を及ぼす業界全体の問題だ」と指摘。人員削減などの経費削減策により、「赤字を穴埋めし、世界水準のがん治療と最先端の研究、次世代のリーダーとなる科学者・臨床医の育成を継続することが可能になる」とした。
原題:Memorial Sloan Kettering to Cut Hundreds of Jobs as Costs Surge(抜粋)
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