貿易戦争と各地の軍事衝突を受けて原材料価格が乱高下する中、商品相場のボラティリティーから利益を上げるトレーダーへの需要が高まっている。

特にアイスラー・キャピタルなどのヘッジファンド、スクエアポイント・キャピタルなどのクオンツ運用会社は、荒れた相場で稼ぐことを得意とするトレーダーの採用を強化している。人材紹介会社や市場参加者が語った。

エネルギーや金属、コーヒーといったコモディティーの相場は今年、大きく変動している。トランプ米大統領が主要な貿易相手国・地域に関税を課し、世界経済見通しが不透明になったことが背景にある。

イスラエルとイランの対立を受けて、複数のボラティリティー指標は今年に入ってからの最高水準に達した。ロシアとウクライナの和平協議実現に向けた不確実性も、エネルギー市場で新たな変動要因となっている。

 

幹部人材の紹介を行うオメルタ・グループのグローバルコモディティー責任者、ロス・グレゴリー氏は、今年の不安定な環境を背景に、クロスコモディティーやボラティリティー・ポートフォリオマネジャー、トレーダーらに対する需要が昨年に比べて大幅に増加していると説明した。

「地政学的要素が日々発生する中で、コモディティー・ボラティリティー・トレーディングデスクは実質リターンをたたき出している」と話した。

アイスラーはコメント要請に応じなかった。スクエアポイントからも現時点で返答はない。

相場の方向性ではなく将来的な変動の大きさに賭け、オプションを利用するボラティリティートレーダーは、プライシングモデルやアルゴリズム構築の高度な専門知識を駆使する。

例えば、アイスラーに採用されたグレッグ・ブガイ氏はゲーム理論やクオンツ分析、ファンダメンタルズ分析を組み合わせて、オプション市場における構造的なゆがみやプライシングのアノマリーを突き止め、それを収益機会に結び付ける手法を用いている。

もっとも最先端モデルも絶対確実ではない。大手石油トレーディングデスクのいくつかは、地政学的ショックと予測不能な米国の通商政策を理由に、第2四半期に利益が前年を下回ったと報告している。

原題:Hedge Funds Hire Commodity Volatility Traders as Markets Whipsaw(抜粋)

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