変動金利型サムライ債の起債が徐々に広がりを見せている。約10年ぶりとなった今年5月の仏銀クレディ・アグリコルを皮切りに、11日には中南米地域のインフラ向け融資や出資などを行うアンデス開発公社 (CAF) が発行条件を決定した。

CAFが発行するのは3.5年の固定金利債と5.5年の変動金利債の2本で、総額は209億円。CAFが変動金利債を手掛けるのは初めてだ。5.5年債は当初、固定金利で需要調査を行ったが、起債には至らなかった。

海外の発行体が日本の投資家を対象とするサムライ債市場は、トランプ関税による経済混乱を受けた財政拡大懸念、日本銀行の追加利上げ観測などから超長期ゾーン中心に国内金利の上昇(債券価格は下落)基調が強まり、過去2年と比べやや停滞を強いられてきた。特に固定金利債は、投資家にとって含み損が拡大するリスクがあり、敬遠されやすかった。

一方、変動金利債は将来的な市場金利の変動に応じて利率が変わる債券で、金利上昇時に投資家はより高い利率収入を得られる。日銀がマイナス金利政策を導入する前の2015年12月には仏銀BPCEが発行。今年に入りクレディ・アグリコル、6月にBPCEが変動金利サムライ債を起債した。

アセットマネジメントOneの加藤晴康ファンドマネジャーは「この半年ほどで変動債の発行が目立つようになり、社債市場のキャパシティーが広がってきた」と指摘した。金利の上昇局面で含み損を警戒する投資家にとって、変動金利は「社債市場に新しいページを開いた」と述べた。

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