米連邦最高裁は、トランプ大統領の関税措置の大半が合法かどうかを判断すると明らかにした。トランプ氏の看板経済政策を巡る上告を迅速に審理することに合意したもので、世界的な金融・政治への影響が見込まれる。

9日の命令によれば、最高裁は「11月第1週」に口頭弁論を行う。異例の早い日程であり、最高裁が迅速に判断を下そうとしていることがうかがわれる。連邦高裁は関税のほとんどについて大統領の権限を超えた違法行為だと判断したが、訴訟のプロセスが進行する間は関税の効力は維持されている。

争点は、数兆ドル規模の国際貿易に影響する輸入関税の措置だ。トランプ氏が勝訴すれば大統領の権限は強化され、グローバルな政策を推進する上で貿易相手国・地域に対する強力な手段を得る可能性がある。

一方、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナリスト、クリス・ケネディ氏によれば、トランプ氏が敗訴すれば、現行の米実効関税率の平均16.3%は少なくとも半減し、米国は数百億ドルの返金を迫られる可能性がある。同氏が一部の国・地域と結んだ暫定的な貿易合意が覆される恐れもある。

争われている措置には、トランプ氏が「解放の日」と呼ぶ4月2日に発表した関税が含まれ、米国へのほとんどの輸入品に対し国・地域ごとに10-50%の関税を課す。合成麻薬フェンタニルの米国への流入を理由にカナダとメキシコ、中国に課された関税も対象となる。

今回の訴訟は、民主党主導の州と中小企業グループによる別個の提訴に端を発している。

トランプ氏は自身の関税措置について、1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき正当化されると主張している。

同法は国家安全保障や外交政策、経済上の緊急事態に対処するさまざまな手段を大統領に付与している。大統領が緊急事態に対処するため「輸入」を「規制」できると規定しているが、関税についての言及はない。

連邦特別行政高裁は先月、賛成7、反対4で同法が広範な関税発動を認めるものではないとの判断を下した。

原題:Supreme Court to Review Trump Tariffs on Fast-Track Schedule (2)(抜粋)

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--取材協力:Shawn Donnan.

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