米アップルは9日、スマートフォンの新モデル「iPhone 17」シリーズを発表した。これまでで最も薄型の「Air」も登場。標準機種のカメラ技術も向上させた。

「awe dropping(言葉にできない)」をキャッチフレーズに、同社本社で開催したイベントでは、スマートウオッチの新モデルや、ワイヤレスイヤホン「AirPods」上位機種の改良版も発表した。

同社は需要に減速が見られる中でも最大の収益源であるiPhoneに顧客を引き留めようとしている。スマートフォン市場の成熟に加え、アップルは中国などでの競争激化にも直面している。関税やその他コストの上昇により値上げを余儀なくされるとの観測があったが、同社は新モデルの価格をほぼ据え置いた。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は発表イベントで、iPhone Airは「まさにゲームチェンジャー」と述べ、これまでで最大の飛躍だと表現した。

カリフォルニア州クパチーノで開催されたイベントで披露された「iPhone Air」(9日)

アップルによると、薄型モデルのAirは本体の両面にセラミックシールドを備え、耐久性を高めている。このモデルの厚さは5.6ミリメートルで、従来のモデルより約3割薄く「非常に軽量」だという。

従来よりはるかに薄型のデバイスで、将来のより高性能なモデルへの布石となる。Airは新しい「A19 Pro」チップを搭載しているが、バッテリー駆動時間やカメラ、オーディオでは妥協もみられた。

アップルはAirのバッテリー駆動時間について「終日使える性能がある」と説明したが、1回の充電でより長く利用できるようにするため、99ドルの磁気式バッテリーパックも用意した。Airの動画再生時間は27時間で、iPhone 17 Pro Maxの39時間に比べると短いが、このバッテリーパックを使えば40時間に延長できる。

背面カメラは1基のみで、標準のiPhone 17の2基やiPhone 17 Proの3基と比べると少ない。また、Airには底面スピーカーがなく、音声出力はイヤーピース(受話口)に搭載されたスピーカーに限定される。

一方、新型「Pro」モデルは新しいアルミニウム製デザインを採用し、発熱を抑える仕組みを備える。性能は「iPhone 16 Pro」と比べて40%向上。Airと同様に本体の両面にセラミックシールドを搭載しているという。

Proのカメラシステムは刷新され、3つの4800万画素センサーを搭載。8倍の光学ズームが可能になった。バッテリー駆動時間も大幅に向上し、動画再生で6時間延長された。ケーブルを使えば20分で50%まで充電できるようになり、従来の30分から短縮された。

通常版のiPhone 17は画面サイズが従来の6.1インチから6.3インチに拡大され、スクロールやゲームをより滑らかに表示する高リフレッシュレート機能「ProMotion」に対応した。

米国での価格は、標準モデルが799ドルからに据え置いた。一方、Proモデルは100ドル値上げされるが、ストレージ容量が従来の2倍に拡大されている。新たに追加されたAirモデルは999ドルからに設定し、価格帯の中間の位置づけ。

日本での販売価格はiPhone 17が12万9800円から、iPhone Airが15万9800円から、iPhone 17 Proが17万9800円からとなっている。

カラー展開は、iPhone 17がラベンダー、セージ、ミストブルー、ホワイト、ブラック。Proモデルは従来の落ち着いた色合いから一新し、コズミックオレンジ、ディープブルー、シルバーの3色。Airはスペースブラック、クラウドホワイト、スカイブルー、ライトゴールドの4色。

発売日は19日で、予約注文は12日から受け付ける。

ブルームバーグはこれまでにiPhone Airやその他の機能について報じていた。9日の発表会では大きなサプライズは少なく、投資家は概ね冷めた反応で、株価はニューヨーク市場で1.5%下落し234.35ドルで終了した。

 

同社はまた、ワイヤレスイヤホンの「AirPods Pro 3」も発表。約3年ぶりとなる新型モデルは健康管理機能が追加され、ノイズキャンセリング性能や装着感を改善した。

心拍数センサーや人工知能(AI)を使ったライブ翻訳機能を搭載するAirPods Pro 3の価格は249ドル(日本では3万9800円)。同社によると、音楽再生時のバッテリー持続時間は6時間から8時間へと改善した。

スマートウオッチ「Apple Watch」シリーズも3年ぶりに全面的に刷新した。上位モデルには血圧通知機能を新たに搭載し、下位モデルも機能を強化した。

セルラー通信対応モデルでは、5G通信への対応が追加される。「Series 11」と「Ultra 3」には、新たに高血圧の兆候を検出する機能が搭載されたほか、新しい文字盤も用意。下位モデルの「SE 3」にも、健康関連機能の追加に加え、高速なチップと改良されたディスプレーが導入される。

9月19日発売で、米国での価格はUltra 3が799ドル(日本では12万9800円)から、Series 11が399ドル(同6万4800円)から、SE 3が249ドル(同3万7800円)から。

動画:アップルが「iPhone Air」を発表

原題:Apple Debuts $999 iPhone Air, Betting on Ultrathin Design (1)、Apple Debuts iPhone 17 Lineup, Including Skinnier Air Model (2)、Apple Debuts Watches With Blood-Pressure, Satellite Features (1)、Apple Debuts AirPods Pro 3 With Heart-Rate Monitor, Better Fit(抜粋)

(iPhone Air とProの詳細仕様やアップルの株価などを追加して更新します)

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