欧州中央銀行(ECB)の利下げは終了したとの見方が、ブルームバーグのエコノミスト調査で示された。最新予測では中期的にインフレ率が目標値を維持することが確認される見通しだ。

調査回答者の多くは、中銀預金金利が少なくとも来年末までは2%に据え置かれると予想している。約4分の1は、2026年6-12月の間に1回以上の利上げがあると見込んでいる。

 

政策当局者の間ではここ数週間、インフレ率を2%前後に抑えるには、これまでに実施された8回の0.25ポイントの利下げで十分だとの確信が強まっている。調査に答えたエコノミストの見解は、年内の追加緩和をもはや見込んでいない投資家の見方と一致した。

ラガルド総裁も7月に金利を据え置いた際に、ECBが「良い状況にある」との認識を示している。

インテーザ・サンパオロのマクロ経済調査部門責任者ルカ・メッツォモ氏は「政策委員会は当面は様子見ができる」と述べ、「内需の回復が見られない、もしくは新たな外的ショックが発生すれば、今後再び利下げが実施される可能性もある」と付け加えた。

調査対象のエコノミストの約4割が、来年3月末までに少なくとも1回の利下げがあると予想している。メッツォモ氏自身は、12月に最終利下げが行われ政策金利が1.75%になると見込んでいる。中期的にインフレ率が過度に低下することを懸念しているという。

 

調査回答者の間では、インフレ率がECBの目標を上回ることへの懸念と、下回ることへの懸念がほぼ拮抗(きっこう)している。2027年のインフレ見通しが1.7%程度に下方修正されれば、追加利下げがほぼ確実に実施されるとの見方が多数を占めたが、そのようなシナリオは予想されていない。

大半のエコノミストは、6月時点で示された27年の物価上昇率2%という予測が据え置かれるとみており、26年の見通しについては上方修正があると考えている。

スコープ・レーティングスのエコノミスト、デニス・シェン氏は「現時点では、利下げ再開のハードルは高いように見える」とし、「今年中の追加利下げはないと考えている」と述べた。

約4割の回答者は現在のECB政策が既に若干、景気刺激的だと考えているが、経済の先行きについては不透明感が強い。

TDセキュリティーズの欧州マクロストラテジスト、ジュリー・イオッフェ氏は「貿易協定やウクライナ、財政上の課題といった問題が目前に迫っているが、その最終的な帰結はいずれも不確かだ」とした上で、「経済がどう反応するかはまだ見通せず、政策委員会が進むべき道を明確に定めるのは難しい」と語った。

 

原題:ECB Rate Cuts Are Over and Inflation Will Hold at 2%, Poll Shows(抜粋)

--取材協力:市倉はるみ.

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