ドイツ連邦統計局が5日発表した7月の製造業受注は、今年1月以来の大幅な落ち込みを記録した。受注の減少は予想外で、製造業が3年に及ぶ低迷から脱却しつつあるとの期待を打ち砕いた。

7月の製造業受注は大型受注の落ち込みが響き、前月比で2.9%減少した。ブルームバーグが調査したエコノミスト予想は0.5%の増加だった。大型受注を除けば、0.7%増加していた。

 

ドイツ経済省は「受注動向は、貿易と地政学の高い不確実性によって変動しやすい状態が続いている」と発表文で指摘。「工業の需要は底打ちした」兆しがあるように見えるが、「振れや特殊要因を調整した後でも、需要はなお低調だ」との見解を示した。

米国の関税引き上げやロシアのウクライナ侵攻に対処しつつ、長引く景気低迷から抜け出そうとしているドイツにとって、今回の製造業受注は課題の大きさを浮き彫りにする。政府の支出が成長回復を後押しすると企業は楽観しつつあるが、それでも現状は厳しいとの認識が共有されている。

欧州連合(EU)は米国向けの大半の輸出品について関税率15%とすることで同国と合意し、現時点でこれよりも高い関税が課されている自動車も15%の関税率の対象とさせたい考えだ。これが実現すれば、欧州自動車業界にとっては救いになる。

だが、他の業界も苦しんでおり、ドイツの化学工場は4-6月(第2四半期の)稼働率が72%と、過去30年余りで最低の水準だった。

複数の調査機関はドイツの景気回復をまだ先の話だとし、今年の国内総生産(GDP)成長率予測を引き下げ、わずか0.1-0.2%とした。ただ、来年は政府支出や欧州中央銀行(ECB)の利下げが寄与し、各機関ともドイツの成長が上向くとみている。

原題:German Factory Orders’ Unexpected Drop Hurts Rebound Hopes (1)(抜粋)

--取材協力:Joel Rinneby、市倉はるみ、Kristian Siedenburg.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.