(ブルームバーグ):フランスのバイル首相が、8日の信任投票で退陣に追い込まれる見通しだ。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、後任の首相には、政府債務の増加という遺産が残されると指摘する。
BEは5日のリポートで、首相の退陣による直近の経済的影響は限定的と見られるが、議会が債務抑制策で合意できなければ、国内総生産(GDP)に占める借入金の割合は、2030年までに10ポイント上昇し125%に達する見通しだと述べた。

BEのアントニオ・バローゾ氏らエコノミストは、「野心的な財政再建計画を実行できなければ、上昇する資金調達コストを名目成長率では相殺しきれず、債務は危険な上昇軌道に乗る。これにより、債務の持続可能性へのリスクが高まる」と指摘した。フランスは現在、投資家からの厳しい監視にさらされている先進国の一つだ。
8日の信任投票で、バイル氏は国民議会(下院)議員らを説得し支持を取り付ける必要があるが、主要野党は反対票を投じる意向を示している。
事情に詳しい関係者によると、マクロン大統領はバイル氏失職後の対応として、早期総選挙は避けたいと考えている。代わりに、下院各党派の合意を得て新首相を任命する方向で動いているという。
BEのジャン・ダルバール氏は5日、ブルームバーグテレビでフランスについて、「将来的に債務危機や経済危機に発展する可能性はあるが、現時点では単なる政治危機に過ぎない」と語った。

BEは「フランス経済はほとんど勢いがなく、政治的な不確実性の高まりによって国内需要は既に鈍化している。金融環境がさらに引き締まれば、2026年に予想される回復にリスクとなる」とも強調した。
フランス国債は5日、ドイツ国債と共に小幅上昇している。仏独国債の利回り差(スプレッド)は77ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となり、約2週間ぶりの水準まで縮小した。

原題:France’s Perilous Debt Path Is Headache for Bayrou Successor (1)(抜粋)
--取材協力:Tom Fevrier、James Hirai、Ben Priechenfried.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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