(ブルームバーグ):9月第2週(8-12日)の日本株相場は上値が重い展開が見込まれる。米国の9月の利下げが既に織り込まれ、新しい好材料は出にくい。焦点は国内政局で、自民党総裁選の前倒し実施の可能性が高まれば日本株を支えそうだ。
米国では9日に雇用統計のベンチマーク(基準)改定、11日に8月の消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想通りなら利下げの後押しになるものの、雇用の大幅な下振れや想定以上のインフレ進行となれば景気悪化に対する懸念が勝り、相場を下押しする可能性がある。
国内では8日に自民党が所属国会議員と都道府県連代表に対して臨時総裁選の実施要求の意思確認を行い、結果を発表する。過半数が前倒しを要求し、石破茂首相退陣の観測が高まれば、財政拡張への期待などから日本株には追い風となる。
個別の材料では9日に米アップルが製品イベントを開催する。主力スマートフォン「iPhone」の新モデル「iPhone 17」シリーズが披露される見通しで、内容次第では同社に電子部品や半導体などを供給する一部の国内企業の株価が上昇しそうだ。
12日は株価指数先物・オプションの特別清算値(メジャーSQ)算出で、一時的に相場の振れ幅が大きくなる可能性がある。
そのほか8日には内閣府が4-6月期の国内総生産(GDP)改定値を発表する。速報段階で実質GDPは5四半期連続のプラス成長だった。11日には「業務スーパー」を展開する神戸物産が決算を発表する。同日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を発表し、ラガルド総裁が記者会見を行う。
第1週の東証株価指数(TOPIX)は週間で1%上昇。国内政治の不透明感や世界的な財政悪化懸念などが重しになった一方、米利下げ観測や関税懸念の後退が相場を支えた。

《市場関係者の見方》
SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長
自民党の総裁選を巡っては今のところ前倒し派が優勢な印象はあるが、情勢は直前まで変化するだろう。前倒しとなれば株式には短期的にプラスだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は労働市場の統計を重視しており、CPIより雇用統計の基準改定の影響が大きそう。ただ、米利下げや首相退陣は既に織り込まれている部分が大きく、上値を追うには材料不足だ。
りそなホールディングスの武居大暉ストラテジスト
日本株はフェアバリューよりもやや割高な水準まで上がっており、悪材料に反応しやすい地合いが続きそうだ。米国の雇用が大きく弱含めば、景気懸念で市場にはネガティブとなる。週初は石破首相の退陣観測が高まって株価が上昇する可能性はあるが、割高さも意識されて週後半にかけては利益確定売りに押されるだろう。
--取材協力:我妻綾.
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