TOPPANホールディングス傘下で、半導体用フォトマスク製造のテクセンドフォトマスク(東京都港区)が東京証券取引所プライム市場への上場に向け投資家の需要調査を開始する。4日付の有価証券届出書で明らかになった。

届出書によると、同社の上場は10月から2026年4月までのいずれかの日を予定。上場に伴いテクセンドは新株を発行し、100億-300億円を調達する計画だ。既存株主による株式の売り出しも予定しており、詳細は未定としている。新規株式公開(IPO)で得た資金は工場や設備の新設などに充てる考え。

同社とトッパンHは5月に株式上場に向け準備を進めていると発表。届出書提出時点で東証からの上場承認は取得しておらず、詳細は承認後に決まる見通しだ。IPO業務全体を管理するジョイント・グローバル・コーディネーターはSMBC日興証券、野村証券、モルガンスタンレー、BofA証券が務める。

テクセンドは、同じく最短10月の上場を目指すヘアケア製品メーカーのファイントゥデイホールディングスに続き、市場環境の変化による価格変動リスクを軽減する承認前届出書提出(S-1)方式を採用した。上場承認前に有価証券届出書の提出が可能で、承認日から上場日までの期間を短縮できるメリットがある。

S-1方式は23年10月に導入され、フラッシュメモリーメーカーで昨年上場したキオクシアホールディングスが初めて活用。届出書の提出後に機関投資家などを対象に需要状況の調査も行うことができる。

今年の国内IPOの総額は9月までで約5890億円と、同期間では11年ぶりの高水準だ。3月上場のJX金属が大半を占めるものの、日米関税協議の合意や米国の利下げ観測に伴う円高進行の一服などから足元の日本株市場では先高観が強く、投資家のリスク志向の高まりはIPO市場にとっても追い風になる。

テクセンドが4日に公表した今期(26年3月期)の業績計画は、売上高が前期比6.2%増の1253億円、営業利益は9.6%減の255億円。同時に示した中期事業目標では、グローバルで拡大が見込まれるフォトマスク需要を確実に捉え、売上高の年平均成長率約10%、営業利益約20%の数値を掲げた。

(詳細を追記し、記事を再構成)

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