ホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が24年ぶりに復活する。1980年代前後にスポーティーなスタイルのデートカーとして若者の人気を集めたが、新型の価格設定は高くなっており主要ターゲットは50代前後の中高年層を想定。親子の関係を通じて若者への浸透を目指すほか、顧客とより多くの接点を持つためレンタカーでも提供する。

4日に発表された新型の車両価格は617万9800円(消費税込み)からとホンダの国内ラインアップでは燃料電池車の「CR-V」(約810万円)に次いで2番目に高い設定となっている。走行用と発電用の2つのモーターを備えた独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載するモデルのみで、ガソリン車は用意されていない。5日から販売され、国内での月間販売目標は300台。

ホンダは1978年、スポーツカーのようなデザインとセダンの居住性や快適性を兼ね備えたスペシャリティカーとして初代プレリュードを発売。80年代に登場した2代目や3代目は若者を中心に人気を博し「デートカー」とも呼ばれた。その後販売が減少したことを受け2001年に生産終了となっていた。

その後、ホンダでは国内ではフィットなどの小型車や軽自動車に注力して同社の伝統である走りの楽しさを伝える車が少なくなったことが課題となっており、プレリュードの投入でイメージ向上を目指す。

かつてプレリュードに憧れて購入したのは多くが若者だったが、開発責任者を努めた山上智行氏は都内で開いた説明会で、新型のメーンのターゲットは1960年代半ばから1980年ごろに生まれた世代を指す「ジェネレーションX(X世代)だ」と述べた。

年齢にして45歳から60歳前後になるが、山上氏は開発に当たって親と趣味や価値観を共有する人が多いX世代の子供も意識したとし、親子で共同購入する人もいると考えられると述べた。

 

しかし、80年代と同様に若者の購買意欲を掻き立てることができるかは不透明だ。高い走行性能と先進的なソフトウエアを備えた米テスラの「モデル3」より90万円近く高い価格設定で、特に若い世代には手が届きにくい可能性がある。

ホンダではより多くの人にプレリュードに触れてもらうためとして、一部のホンダ販売店でレンタカーとして貸し出す。販売店での新型車のレンタルは同社では初めてという。

ホンダの井上勝史四輪事業本部長は、日本市場に続き、プレリュードを「北米では今年の年末から、欧州では26年前半に導入するなど、世界展開も積極的に行っていく」と述べた。

(開発者のコメントなどを追加して更新します)

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